【緊急対談】コロナ以後の世界を日本はどう生き抜くか 森本 敏(第11代防衛大臣) 佐藤正久(参議院議員)

新型コロナウイルスはいまや世界を席巻し、外交、貿易などあらゆる面で世界情勢を揺り動かしている。加えて、このウイルスの感染拡大が一国の安全保障とも密接に関わっていることを忘れてはいけない。これから日本や世界はどう変わるのか。また、未来をひらくために何をしなくてはいけないのか。安全保障の第一人者である森本 敏氏、佐藤正久氏によるお話を、緊急対談としてここに掲載する。

肝腎な時に同盟国や近隣の国々が協力を得られないのは、大変な事態を引き起こしかねません

森本 敏
第11代防衛大臣

 4月に感染が一気に拡大したイタリアはEUや周辺の国々に援助を求めました。ところがフランスとドイツは拒否、EUもこれを突っぱねたために、イタリアが近づいた相手が中国でした。大量の支援物資、多くの専門家がイタリアに入ってきて、イタリアはたちまち中国の礼賛国になってしまったんです。これは安全保障にも言えることですが、肝腎な時に同盟国や近隣の国々が協力を得られないのは、大変な事態を引き起こしかねません。

「自分の国は自分たちで守る」という基軸を、精神面だけでなく現場レベルまで確立していかなくてはいけません

佐藤正久
参議院議員

 いまやトランプ大統領の口から「巨額な貿易赤字を抱えるアメリカが、なぜ裕福な日本や韓国を支援しなきゃいけないんだ。大切なアメリカの若者がなぜ血を流さなきゃいけないんだ」という言葉が聞かれるようになり、いざという時はアメリカが何とかしてくれるという、これまでのような考えは通用しなくなりました。日本も自国を守るために汗をかかなければ、アメリカ国民や議会の理解は決して得られないと思います。

プロフィール

森本 敏

もりもと・さとし――昭和16年東京生まれ。防衛大学校理工学部電気工学科卒業。航空自衛隊を経て54年外務省入省、情報調査局安全保障政策室長など一貫して安全保障の実務を担当。以後、拓殖大学国際学部教授などを歴任し、現在、同大学総長。平成24年に第11代防衛大臣に就任。著書に『徹底討論 どうする!? どうなる!? 北朝鮮問題』『国家の危機管理』(共に共著、海竜社)など多数。

佐藤正久

さとう・まさひさ――昭和35年福島県生まれ。防衛大学校理工学部応用物理学科卒業。防衛省入省後、国連PKOゴラン高原派遣輸送隊初代隊長、イラク先遣隊長、復興業務支援初代隊長、福知山駐屯地司令などを歴任。平成19年参議院議員選挙で初当選。防衛大臣政務官、参議院外交防衛委員長、参議院自民党筆頭副幹事長、外務副大臣などを務める。著書に『イラク自衛隊「戦闘記」』(講談社)など。


2020年8月1日 発行/ 9 月号

特集 人間を磨く

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