親と子の幸せを創る子育て 潮谷愛一(慈愛園子供ホーム元園長) 友田明美(福井大学子どものこころの発達 研究センター教授)

平成30年度に児童相談所に寄せられた児童虐待相談対応件数は15万件を超える。家庭内でのドメスティックバイオレンス(DV)の増加にも歯止めがかからない。いま日本の家庭に何が起こっているのか。社会福祉法人慈愛園(熊本県)で子どもの教育に生涯を捧げてきた潮谷愛一氏と、脳科学の分野から虐待やDVにアプローチしてきた福井大学子どもこころの発達研究センター教授の友田明美氏に、日本の育児を取り巻く問題点を交えながら、家庭に笑顔を取り戻すヒントを語り合っていただいた。

一人ひとりがカバーを外し、異なる考えを勉強して、何が正しいのかをしっかり見極める訓練をする。そうして自分を磨き続けていくことが、日本のよき未来にも繋がっていくと思うんです

潮谷愛一
慈愛園子供ホーム元園長

 英語の「discover(発見)」という言葉には「カバー(覆い)を取る」という意味があります。そのように、一人ひとりがカバーを外し、異なる考えを勉強して、何が正しいのかをしっかり見極める訓練をする。そうして自分を磨き続けていくことが、日本のよき未来にも繋がっていくと思うんです。
 ですから、おんぶして、抱っこして、添い寝して、おっぱいやって、親と子が愛情を育むことのできる子育てがしっかり根づいていけば、きっと日本は大丈夫。僕はそう心配してない。もっともっと子どもたち、親御さんの笑顔が溢れる日本を目指して、これからも力を尽くしていきたいですね。

赤ちゃんがゼロ歳なら親年齢もゼロ歳なんですね。試行錯誤しながら親も子どもと一緒に成長していくんです。ですから、育児は「育自」、自分を磨き育てることでもあるという事実を知ってほしいんです

友田明美
福井大学子どものこころの発達 研究センター教授

……ただ、絶対に伝えたいのは完璧な子育てなどできないということです。私もそうでしたが、結婚して子どもができると、よく周りから「あなたも立派な親になったのだから」と言われるものです。
 赤ちゃんがゼロ歳なら親年齢もゼロ歳なんですね。試行錯誤しながら親も子どもと一緒に成長していくんです。ですから、育児は「育自」、自分を磨き育てることでもあるという事実を知ってほしいんです。

プロフィール

潮谷愛一

しおたに・よしかず─昭和14年熊本県生まれ。37年日本社会事業大学卒業。45年アメリカウィッテンバーグ大学交換留学。アメリカ・情緒障害児施設研修。元尚絅大学短期大学部助教授。59年から平成15年まで社会福祉施設・慈愛園子供ホーム園長。17年から九州ルーテル学院大学教授。27年から同名誉教授。熊本市社会福祉協議会会長も務める。

友田明美

ともだ・あけみ─昭和35年熊本県生まれ。熊本大学医学部卒業。平成2年熊本大学病院発達小児科勤務。15年米マサチューセッツ州の病院に留学。18年熊本大学大学院准教授を経て、23年より現職。同大学医学部附属病院子どものこころ診療部部長を兼任。日米科学技術協力事業「脳研究」分野グループ共同研究の日本側代表を務める。著書に『子どもの脳を傷つける親たち』『親の脳を癒やせば子どもの脳は変わる』(共にNHK出版)など多数。


編集後記

いま日本では一週間に一人の子供の命が失われています。家庭内での虐待やドメスティックバイオレンス(DV)が後を絶たない日本。まさに崩壊の危機にある日本の育児、家庭の問題とその解決策を、慈愛園元園長・潮谷愛一さんと、福井大学子どものこころの発達研究センター教授・友田明美さんに語り合っていただきました。

2020年8月1日 発行/ 9 月号

特集 人間を磨く

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