感性を磨く生き方 行徳哲男(日本BE研究所所長) 芳村思風(思風庵哲学研究所所長) 村上信五(関ジャニ∞)

5月18日にフジテレビで放映された『関ジャニ∞クロニクルF』にて、村上信五氏が「人生で最も影響を受けた本」として紹介した一冊――それが『いまこそ、感性は力』である。この出来事を機縁に本書の著者である行徳哲男氏、芳村思風氏との鼎談が実現した。村上氏が本書と出逢ったきっかけ、感銘を受けた言葉やエピソード。また、いまなぜ感性が大事なのか、いかにして感性を磨くか、コロナ禍を過ごす上で大切な心構えとは何か。異色の組み合わせが織り成す人間学談義から学ぶものは多い。

自分を鮮やかに生きていない人間が人を鮮やかには絶対しません。
現代人の多くは〝紛れもない私〟を生きていない。人に見せる自分ですよ

行徳哲男
日本BE研究所所長

村上
 『いまこそ、感性は力』は十年前に刊行されていますけど、先ほど致知出版社の方からお聞きしたら、最初に先生方が『致知』で対談されたのは33年前だそうですね。僕まだ5歳です(笑)。

行徳
 きょうは古びた本を持ってきたんですが、これが思風先生と私の出逢いの原点です。いまから四十四年前、私は財閥系の会社で労働組合対策という特殊な仕事をしていました。あの頃の労働争議は凄まじいものがあり、私は経営陣の立場と労働者の立場の板挟みで大変に苦しんでいましてね。
 そんな中で、忘れもしません、十二月四日。渋谷の大盛堂という本屋さんに行き、ふと目に留まったのが思風先生の『感性論哲学の世界』だったんです。ぱっと開けてみたら、「考え方が人間を決めるのではなく、感じ方が人間を決める」という一文があった。
 当時は共産主義や左翼のイデオロギーが圧倒的な力を持っていた時代です。イデオロギーって考え方ですよね。その考え方より強いものが感じ方だと。そこで私は過激なイデオロギーと闘う勇気を思風先生の本から頂戴したんです。だからこれが私の教典になっている。

命が燃えるような努力をするならば、単なる理屈や遺伝子の潜在能力をさらに超えた、宇宙のエネルギーが自分の命を通して沸々と湧き上がってきます

芳村思風
思風庵哲学研究所所長

村上
 思風先生が最初に感性が大事だと思われたのは、どういったきっかけだったんですか?

芳村
 私は中学生の時から『論語』や『老子』といった東洋古典を読み始め、大学では西洋哲学の書物を貪り読みました。それは真実の世界、真実の人間のあり方を知りたいという探究心からでしたが、結局、自分の求めているものは自分の力でつくり出すしかないんだと思い至りましてね。
 で、勉強を重ねるうちに、理性よりも感性のほうが大事だということをだんだん感じ始めたんですけど、一番大きな気づきになったのは、実はエルビス・プレスリーの『監獄ロック』です。
 昭和三十年代にプレスリーの『監獄ロック』を聴いて、「これやー!」って思ったんです。
 もう理屈を言うとる時代やないと。この迫力、この感動やと思ってね。感性の時代が必ず来ると確信しました。

『いまこそ、感性は力』を読んでいる途中で、一度本を閉じ、目を閉じ、天を仰ぎ、〝うわっ、なるほど〟と噛み締める箇所がありました

村上信五
関ジャニ∞

行徳
 村上さんはどうしてこの本と出逢ったんですか?

村上
 もともとは友人からの紹介でした。飲食店を営んでいる友人が東京で事業に失敗して、広島の実家に戻る時、親御さんから「これを読め」ということで、先生方の本を読んだそうなんです。その時にすごく感銘を受けたと。
 で、いまから5~6年前、その友人に「村上君も一回読んでみぃ」と言われて、思風先生の『人間の格』と先生方の共著『いまこそ、感性は力』が送られてきました。その友人は僕より10歳ほど年上の方ですが、人に対するおもてなしの精神などが非常に魅力的で尊敬していましたので、その友人からの薦めなら素直に読んでみようと思ったんです。
 最初に読ませていただいた時はもう分からんことだらけでした。なぜそもそもこの二冊なんだろうというのが正直な感想でしたし、やっぱり哲学は難しいと。そんな入り口で、分からない言葉はメモを取って調べながらだったんですけれども、気がつくとスラスラと最後まで読み終えていました。
 読んでいる途中で、一度本を閉じ、目を閉じ、天を仰ぎ、「うわっ、なるほど」と噛み締める箇所がいくつかあったんです。

プロフィール

行徳哲男

ぎょうとく・てつお─昭和8年福岡県生まれ。35年成蹊大学卒業。46年日本BE研究所設立。行動科学と禅を融合した感性を取り戻す研修を行う。著書に『感奮語録』(致知出版社)など。

芳村思風

よしむら・しふう─昭和17年奈良県生まれ。学習院大学大学院哲学博士課程中退。45年思風庵哲学研究所設立。感性論哲学の創始者。名城大学元講師。著書に『人間の格』(致知出版社)など。

村上信五

むらかみ・しんご─昭和57年大阪府生まれ。中学3年生の時にジャニーズ事務所入所。平成14年関ジャニ∞を結成し、16年CDデビュー。歌手やバラエティータレント、俳優、司会者など多方面で活躍。フジテレビ系列での東京五輪メインキャスターに就任。


編集後記

特集を締め括るのは日本BE研究所所長の行徳哲男さん、思風庵哲学研究所所長の芳村思風さん、関ジャニ∞の村上信五さんによる鼎談です。80代、70代の先達と30代の人気アイドルとの忘年の交わり。それは一冊の本が結んだ縁でした。念願の初対面を果たした3人の語り合いは、終始感動の連続で興味は尽きません。
今回の鼎談では下記の内容が掲載されています。
*         *            *           
「一冊の本が結んだ奇妙な縁」
「本を閉じ、目を閉じ、天を仰いだ箇所」
「こうしてジャニーズ人生がスタートした」
「感性に長けた人ジャニー喜多川との思い出」
「不遇のアイドル時代を支えたもの」
「44年前の12月4日すべてはそこから始まった」
「感性論哲学が生まれた驚きの背景」
「本音と実感を鍛え『紛れもない私』を生きる」
「世界的プロゴルファー青木功が掴んだ『前後際断』」
「コロナ禍の時代をどう生きるか」
「『もしも塾』の公演を萩で行った理由」
「人間の命が最も輝く瞬間とは」
「徹底的な『集中』そして『狂』であれ」

2020年8月1日 発行/ 9 月号

特集 人間を磨く

バックナンバーについて

致知バックナンバー

バックナンバーは、定期購読をご契約の方のみ
1冊からお求めいただけます

過去の「致知」の記事をお求めの方は、定期購読のお申込みをお願いいたします。1年間の定期購読をお申込みの後、バックナンバーのお申込み方法をご案内させていただきます。なおバックナンバーは在庫分のみの販売となります。

定期購読のお申込み

『致知』は書店ではお求めになれません。

電話でのお申込み

03-3796-2111 (代表)

受付時間 : 9:00~19:00(平日)

お支払い方法 : 振込用紙・クレジットカード

FAXでのお申込み

03-3796-2108

お支払い方法 : 振込用紙払い

閉じる