4 月号ピックアップ記事 /対談
かくて運命の扉をひらいてきた さだまさし(シンガー・ソングライター/小説家) 鈴木茂晴(大和証券グループ本社名誉顧問)
昨年デビュー50周年を迎えた日本を代表するシンガー・ソングライターさだまさし氏。
幾多のヒット曲を生み出し、これまでに積み重ねてきたソロコンサートは通算4,623回と、前人未到の記録を塗り替え続けている。
小説家としても数々のベストセラーを手掛ける他、被災地支援のチャリティーコンサートなど社会貢献活動にも力を注ぐ。
さだ氏はいかにして自身の運命をひらいてきたのか。
親交の深い大和証券グループ本社名誉顧問の鈴木茂晴氏がその核心に迫った。
僕はこれまで4,623回のコンサートを重ねてきて、手抜きをしたことは一度たりともありません。
「惜しむな、惜しむな」って自分に言い聞かせながら、すべてのステージは1回しかないという思いで立っています
さだまさし
シンガー・ソングライター/小説家
〈鈴木〉
50周年を迎えていまどのような感慨を抱いていますか?
〈さだ〉
どんな商売でもお店が50年続いたら老舗だろうと思っています。そう考えると、よくお客さんが育ててくださったなと。
これまでコンサートをやってこられたのも毎回お客さんが来てくれるからで、どこでやっても満席、満席という状態が続いてきました。
そういう意味では、ファンの方たちがいなくなるまでやらなきゃいけないという責任感だけで唄ってきた感じですね。
〈鈴木〉
本当に熱心なファンが多いですよね。
〈さだ〉
僕の場合、一番コアな年代は50代、60代です。最近ようやくその二世である30代、40代がさだまさしに気づき始めてくれて、さらに第三世代の10代の中にも、突出した熱心な子が何人か出てきましたね。不思議な感覚ですが、ああ、この子たちにも僕の世界観は伝わるんだなって。
これは大変だと思うような逆境や苦難でも、何があっても前向きに捉える。
そういうポジティブマインドを強く持っている人が運を掴むのだと確信しています
鈴木茂晴
大和証券グループ本社名誉顧問
〈鈴木〉
最近の流行りの歌は騒々しい歌が多いですけど、歌詞をちゃんと聴かせるさださんの歌に感動する若い世代が出てきたというのは、日本の希望ですね。さださんは何と言っても歌詞が素晴らしい。
〈さだ〉
本当ですか。なんか照れくさいな(笑)。
〈鈴木〉
私は『案山子』という曲が大好きなんですけど、「凩が雑木林を転げ落ちて来る」、普通はこんな表現を使わないじゃないですか。
でもすごくイメージが湧く。こういう感性はどこから来るんだろうと思ったことがあります。
〈さだ〉
作詞は難しいですよ。歌についている言葉ってナイフみたいなもので、ナイフでリンゴを切るとすごく切り口は鮮やかですが、そこから腐るんですよね。
だから、使いようによっては人を傷つけるし、間違った価値観を主張しているかのように受け取られる。……(続きは本誌をご覧ください)
▼チャリティーコンサートは恩返しのため
▼50周年の節目を迎えていま心に抱く思い
▼「国とは国語なり」国語こそ教育の要
▼人生で一番惨めだった20歳の挫折体験
▼故郷へ逃げ帰って 僅か1年後にデビュー
▼17歳でノイローゼに その自分への返事を書く
▼常に明るく愚痴を言わず 信じてくれた母の存在
▼映画制作で多額の借金 30年かけて完済
▼「偉大な人は批判者の数で高さを測ることができる」
▼スピードとポジティブマインド
本記事では全10ページ(約13,000字)にわたって、さだまさしさんと鈴木茂晴さんの対談を掲載しています。
お二人が実体験を通して語り合った、挫折や苦難を乗り越え運命をひらいていくヒントとは――。
プロフィール
さだまさし
昭和27年長崎県生まれ。48年フォークデュオ・グレープとしてデビュー。51年ソロ・シンガーとして活動を開始。『関白宣言』『北の国から』など多くのヒット曲を生み、コンサートも通算4600回を超える。小説家としても多くの作品が映画やドラマ化されるなど活躍は多岐にわたる。さらに公益財団法人「風に立つライオン基金」を設立し、被災地支援や助成事業も行っている。令和5年レコードデビュー50周年を迎え、今年5月からは全国コンサートツアー公演が決定している。
鈴木茂晴
すずき・しげはる――昭和22年京都府生まれ。46年慶應義塾大学経済学部卒業後、大和證券入社。引受第一部長、専務取締役などを経て、平成16年大和証券グループ本社取締役兼代表執行役社長、大和証券代表取締役社長。23年大和証券グループ本社取締役会長兼執行役、大和証券代表取締役会長。29年日本証券業協会会長に就任(令和3年まで)。令和3年大和証券グループ本社名誉顧問に就任。
編集後記
さだまさしさんと鈴木茂晴さんは予てゴルフ仲間で親交があるものの、対談の機会は初めて。昨年デビュー50周年を迎えた感慨に始まり、国語教育への警鐘、音楽との出逢い、苦悶の日々からデビューに至る経緯、誹謗中傷や借金生活を支えたもの、4600回超のソロコンサートを成し遂げられた要因、運命をよくする秘訣など、さださんの人生観・仕事観に迫る人間学談義に興味は尽きません。
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