4 月号ピックアップ記事 /インタビュー
すべてのものに感謝 長沼昭夫(きのとや会長)
北海道を代表する洋菓子メーカー「きのとや」。
北海道の厳選した素材と手間隙をかけた製法にこだわったケーキや焼き菓子が人気を博し、昨年創業40周年を迎えた。
後発かつ全くの素人で始めた事業ながらも、今日の発展を遂げるに至ったのはなぜか。
創業者・長沼昭夫氏にその挑戦の軌跡を伺う中で見えてきたもの。それは「運命をひらく要諦」に他ならない。
決して諦めない。もっと自分を向上させようと陰日向なく努力を積む。
逆境や試練、困難も含めてすべてのものに感謝する。
これが運命をひらくために大切な3か条だと実感しています
長沼昭夫
きのとや会長
――昨年創業40周年を迎えられましたね。
〈長沼〉
もう40年も経ったのかというのが率直な思いです。1983年、札幌市内のビルの1階で、僅か5名のスタッフと共に始めた小さなお店は、いまでは道内に計10店舗、グループ全体で600名を超えるスタッフ、売上高83億円(2023年6月)の規模へと発展を遂げました。
創業時から一番大事にしてきたのは、おいしさに徹底してこだわり続けるということです。結局、食べ物はおいしくないと再度買ってもらえないので、また食べたいと思ってもらえるお菓子を提供し続けることが基本だと思います。
――おいしさの追求。そのために心懸けてきたことは何ですか?
〈長沼〉
私は「8割主義」を掲げているのですが、10人中8人がおいしいと言ってくれるお菓子をつくろうと。当然、10人中10人が理想ですけど、現実的に無理なんです。8割の人が支持してくれるお菓子を提供しようと思うと、奇をてらったものではなく、ベーシックなものに必然的に収斂していく。
私の場合、自分がお菓子をつくれるわけじゃなかったので、いつも消費者側の立場で物を考えられたんですね。だから、当社のパティシエたちにも「絶対に妥協するな」と。やっぱり味が命であって、その味を最終的に決めるのはパティシエではなく、経営トップの責任。この信念でずっとやってきました。そういう意味で、私が菓子職人でなかったことがきのとやの成長を後押ししたように思います。
――繁盛店をつくる秘訣はありますか?
〈長沼〉
私の経験上、……(続きは本誌をご覧ください)
▼「8割主義」と「6:3:1の原理」
▼貧しい家庭で育ち 若くして両親と死別
▼28歳の挫折から35歳の創業まで
▼創業14年で「圧倒的日本一」へ
▼「すべての責任は社長である私にある」
▼何のために経営するのか 社員の幸せのため
▼先人の努力の上に商売ができている
本記事では全5ページ(約7,000字)にわたって、きのとや創業者・長沼昭夫さんのインタビューを収録しています。
長沼さんが実体験を通して掴んだ、挫折や苦難を乗り越え運命をひらいていくヒントとは――。
プロフィール
長沼昭夫
ながぬま・あきお――昭和22年北海道生まれ。47年北海道大学水産学部卒業後、畜産業に従事。その後サラリーマン生活を経て、58年義父が経営する丸証の一事業部として「洋菓子きのとや」をオープン。60年㈱きのとや設立、社長就任。平成27年会長。令和4年きのとやを中核にグループ6社の持ち株会社である北海道コンフェクトグループを設立し、会長就任。子息の真太郎氏が社長を務める。著書に『[きのとや]の挑戦』(亜璃西社)。
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