大自然の〝原風景〟が教えてくれたもの 白川義員(写真家)

世界各地を飛び回り、大自然が一瞬のうちに見せる〝原初の風景〟を命懸けで撮影し続けてきた写真家の白川義員氏、86歳。今年春には集大成となる写真展「永遠の日本」と「天地創造」が開催され、大きな話題を呼んだ。〝地球再発見による人間性回復へ〟をテーマに掲げ、写真を通じて人間のあるべき姿を追求してきた白川氏に、その人生の歩みを振り返りつつ、いま私たちが大自然の原風景から学ぶべきことをお話しいただいた。

人間は地球で生きているのではなく、〝生かされている〟。そう思えば、この地球、自然との向き合い方も日々の生き方も自ずと変わってくるはずです

白川義員
写真家

「天に星 地に花 人に愛」というテーマにも通じるかもしれませんけど、それはやっぱり、私たちが生きているこのたった一つの地球、自然というのは本当に掛け替えのない存在であること。私たちが生きていられるのは、この地球以外にはないんだという事実を一人ひとりがもっと深く認識することが大事だと思うんですね。
 そして、自然の背後には人智を超えた巨大な何かの存在があるという事実を私たち人間はもっと謙虚に認めなければいけません。
 実際、地球以外の惑星で生きてくださいと言われても、無理ではないですか。にも拘らず、「地球で生きているのが当たり前」だと傲慢になってしまうから、現代のいろいろな問題も起こってくる。
人間は地球で生きているのではなく、〝生かされている〟。そう思えば、この地球、自然との向き合い方も日々の生き方も自ずと変わってくるはずです。
【写真:カラコルム山脈のバインター・ブラック】(写真集『世界百名山 白川義員作品集 2』より)

プロフィール

白川義員

しらかわ・よしかず――1935年愛媛県生まれ。1957年日本大学藝術学部写真学科卒業後、ニッポン放送に入社。フジテレビを経て、1962年写真家として独立。1969年写真集『アルプス』を出版して以来、『ヒマラヤ』『アメリカ大陸』『聖書の世界』『神々の原風景』『仏教伝来』『南極大陸』『永遠の日本』『天地創造』など12のシリーズを出版する。いずれも前人未到の仕事だが、特にシリーズ8作目の『南極大陸』では、世界初の南極大陸一周に成功。全米写真家協会最高写真家賞、菊池寛賞、日本芸術大賞など受賞多数。1999年紫綬褒章を受章。


編集後記

アルプスやヒマラヤなど、世界各地を飛び回り、大自然が見せる荘厳な風景を撮影し続けてきた写真家の白川義員さん。特に南極大陸を一周し、そのほぼ全域をカメラに収めた仕事は前人未到の偉業です。「原初の自然への畏怖の念が人間を人間にした」「人間はこの地球に生きているのではなく生かされている」――まさに生きるか死ぬかという極限ともいえる環境下で、命懸けの撮影をされてきた白川さんの言葉と写真は私たちの心にずしりと響いてきます。

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