12 月号ピックアップ記事 /対談
松下幸之助に学んだ仕事観 ~勤勉努力の習性こそ日本の宝~ 上甲 晃(志ネットワーク「青年塾」代表) 中 博(「中塾」代表)
創業した松下電器産業(現・パナソニック)を一代で世界的企業にまで育て上げた松下幸之助。その苦難多き94年の生涯はまさに精進の歩みそのものであったといえよう。共に松下幸之助の謦咳に接し、その教えの伝道に力を尽くしているのが志ネットワーク「青年塾」代表の上甲 晃氏と「中塾」代表の中 博氏である。二人が縦横に語り合う、松下幸之助に学んだ人生・経営発展の要諦、いまこそ取り戻したい日本人の仕事観。
松下幸之助と普通の経営者の違いは、94歳で亡くなるまで学び続け、精進し続け、最後まで進化し続けたところにあると思います
上甲 晃
志ネットワーク「青年塾」代表
昔の日本人が「働く」を「傍(他人)を楽にする」と言ったようにね、人の役に立つためには身を粉にして喜んで働くという伝統的な日本の勤労観・労働観を持っていたために、どんな仕事も精魂を込めて働けば人間性を高めることができると考えてきました。その仕事観をもう一度取り戻さないといけないと思うんです。
グローバル化が進み、欧米の基準に合わせることが、まるで進歩のように考えて、日本的な価値観がどんどん失われてしまっている時だからこそ、なおさらそう思います。
松下幸之助が求めた究極の理想は、皆が幸せに働き、美しい四季を喜んで迎えられる和の國・日本を再生することだと思うんです
中 博
「中塾」代表
松下幸之助は、世界でも稀有な歴史と伝統を持ち、美しい四季に恵まれたこの日本という国に対して、ものすごい愛情と誇りを持っていたんです。それがあったからこそ日本の将来を真剣に考え、自分の贅沢に一切投資せず、莫大な私財を投じて松下政経塾をつくった。でも、いまの経営者がどれだけ日本のことを考えて経営しているか、私は疑問に思います。
だから、一人でも多くの人に松下幸之助の教えを伝えていくと共に、和の國・日本の再生に尽くしていきたいというのが私の決意であり、これからの精進なんです。
プロフィール
上甲 晃
じょうこう・あきら――昭和16年大阪府生まれ。40年京都大学卒業と同時に、松下電器産業(現・パナソニック)入社。広報、電子レンジ販売などを担当し、56年松下政経塾に出向。理事・塾頭、常務理事・副塾長を歴任。平成8年松下電器産業を退職、志ネットワーク社を設立。翌年、青年塾を創設。著書に『志のみ持参』『志を教える』『志を継ぐ』など、近著に『松下幸之助に学んだ人生で大事なこと』(いずれも致知出版社)。
中 博
なか・ひろし――昭和20年大阪府生まれ。44年京都大学経済学部卒業後、松下電器産業(現・パナソニック)入社。本社企画室、関西経済連合会へ主任研究員として出向。その後、ビジネス情報誌「THE 21」創刊編集長を経て独立。廣済堂出版代表取締役などを歴任。その間、経営者塾「中塾」設立。著書に『雨が降れば傘をさす』(アチーブメント出版)がある。
編集後記
松下電器産業(現・パナソニック)創業者の松下幸之助の謦咳に接し、いま共にその教えを後進に伝道している志ネットワーク「青年塾」代表の上甲晃さんと、「中塾」代表の中博さん。お二人が語り合う松下幸之助が遺した仕事・人生発展の要諦、そして日本人の勤労精神の大切さに目を開かされる思いがします。
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