12 月号ピックアップ記事 /対談
いかに人を育てるか 平岡和徳(熊本県宇城市教育長/大津高等学校サッカー部総監督) 佐々木 洋(花巻東高等学校硬式野球部監督)

名チームのもとに名監督あり。地方の公立高校サッカー部を全国屈指の強豪校へと導き、50人ものJリーガーを輩出してきた平岡和徳氏。低迷していた高校野球部を甲子園の常連校へと変革し、メジャーで活躍する一流選手を育てた佐々木 洋氏。体験を通じて築き上げてきたお二人の教育観や指導理念を交えて、一流のチームづくり、一流の人づくりについて語り合っていただいた。

僕が20年来、ミーティングの冒頭で言ってきたのは「目指すゴールのない者に進む道はない」ということです
平岡和徳
熊本県宇城市教育長/大津高校サッカー部総監督
大津高校に入るところで終わりではなく、大津高校から始まる夢がすごく重要なんです。
ですから、一日一日をいかに過ごすかという「24時間のデザイン力」、夢に向かって休まずチャレンジし続ける「年中夢求」を説き続けているんです。ただやらされる練習から、主体的に参加する練習に変えていくこと。もっとうまくなりたいと自ら努力や工夫を重ねて、そして夢中になること。
子供たちの「can not」を「can」に変える施策を、我われ大人たちが一枚岩になって取り組んでいるんです。

生徒にも、夢は必ず叶うとハッキリ言うんです。具体的に立てて具体的に行動していけば、必ず夢に近づくんだと
佐々木 洋
花巻東高校硬式野球部監督
大谷翔平が入部してきた時は、「先輩の雄星さんみたいになりたい」と言っていました。私は、夢というのは掲げたところより少し下で実現するような感覚があるので、「それでは菊池以下になってしまう。菊池を越えると言え」と指導しました。当時、菊池の投げる球は155キロくらい出ていましたから、絶対に160キロ出せると暗示をかけましてね。
ただ、実際に目標を書く時に、160キロと書いたら158キロになってしまうと心配していたのですが、大谷はもう目標の立て方を心得てくれていて、163キロと書いてありました。
プロフィール
平岡和徳
ひらおか・かずのり――昭和40年熊本県生まれ。帝京高校、筑波大学時代にはサッカー部主将として全国大会で数々の好成績を残す。大学卒業後、地元・熊本で県立高校教師となり、熊本商業高等学校、大津高等学校をサッカーの強豪校に育てると共に、巻誠一郎選手など約50名のJリーガーを育成。平成27年から日本サッカー協会技術委員会に籍を置き、日本オリンピック委員会強化スタッフとなる。29年4月宇城市教育長に就任。著書に『凡事徹底』『年中夢求』(共に内外出版社)がある。
佐々木 洋
ささき・ひろし――昭和50年岩手県生まれ。平成10年国士舘大学卒業後、大谷学園横浜隼人高等学校の硬式野球部コーチを経て、11年より花巻東高等学校勤務。バドミントン部、ソフトボール部の顧問を経て、14年硬式野球部監督に就任。甲子園出場を重ねる強豪校へと変革し、メジャーリーグで活躍する菊池雄星選手や大谷翔平選手ら、多数の有力選手を育てる。
編集後記
いかに人を育てるか。リーダーにとり最も重要かつ困難な命題について、地方の公立高校を全国屈指の強豪校に育て上げた大津高校サッカー部総監督の平岡和徳さんと、メジャーリーガーを輩出する甲子園の常連チームをつくった花巻東高校硬式野球部監督の佐々木洋さんにご対談いただきました。指導者としてのお二人の精進に注目です。

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