自分の夢は努力で叶える 葛西紀明(スキージャンプ選手)

史上最多となる8度の冬季五輪出場、冬季五輪ジャンプ最年長メダリストとしてギネス世界記録に認定され、「スキージャンプ界のレジェンド」との異名を取る葛西紀明氏。54歳となったいまなお己を磨き、第一線を走り続けている。しかし、輝かしい功績の裏には数々の逆境や不幸があったという。氏の苦節の日々から見えてくる、人生で大事な心構え——。
【写真=高校時代の葛西さんと、病弱な父に代わり家計を支えた母】

逆境こそ天が自分に与えた最大のチャンスである

葛西紀明
スキージャンプ選手

スキージャンプの世界に身を置いて40余年。心の底から愛するジャンプを50代になったいまなお続けられていることを幸せに思います。

誰もがいくつになっても新しい挑戦を重ね、人生を輝かせることができる。そう信じてジャンプに情熱を注いできた僕の半生が、これからの日本を担う若者の一助になれば幸いです。

スキーの盛んな北海道下川町で生まれ育った僕がスキージャンプを始めたのは、小学3年生の冬でした。スキーを滑りに行った時、一緒に滑っていた友人から「飛んでみよう」と誘われました。

僕は根っからの負けず嫌い。友達より飛んでやろうと思っていると、恵まれた身体能力のおかげでいきなり抜いてしまいました。フワっと浮き上がる感覚に何ともいえない快感を覚え、また飛びたいという思いに駆られたのです。

しかし、両親からは猛反対を受けました。我が家は病気がちで働けない父に代わり、母が小料理屋や旅館で朝から晩まで働いて姉と妹と僕を育ててくれていました。米も買えないほど貧しかったので、何十万円もするジャンプ用具を買う余裕はありませんでした。……(続きは本誌にて)

~本記事の内容~
◇原動力となった母の後ろ姿
◇世界との差を痛感した高校時代
◇初めて掴んだ世界の頂
◇「いまこの時を頑張れ」
◇成長の種は経験の中に存在する

プロフィール

葛西紀明

かさい・のりあき――昭和47年北海道生まれ。9歳でジャンプを始める。東海大学付属第四高等学校卒業後、地崎工業入社。マイカルを経て、平成13年土屋ホーム入社。アルベールビル冬季五輪から連続8回冬季五輪に出場し、リレハンメル冬季五輪ジャンプ団体銀メダル、ソチ冬季五輪ラージヒル銀メダル、ジャンプ団体銅メダルを獲得。著書に『折れない心、折れない体、折れない翼』(KADOKAWA)など多数。


編集後記

葛西選手の取材は、2025年10月号の本連載でご登場いただいたアデランス元社長・津村佳宏さんが葛西選手と懇意にされているご縁で実現しました。4月13日(月)都内ホテルにて行われた取材では、若々しい佇まいや眩しく光輝くような眼差しから、54歳となったいまなお現役スキージャンプ選手として第一線を走り続ける所以を感じました。

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