優しいお店、優しい街、そして優しい社会の実現を目指して 池田君江(NPO法人ココロのバリアフリー計画理事長)

2007年6月19日、3名の死者を出した「渋谷温泉施設爆発事故」に巻き込まれ脊髄を損傷、半身不随になった池田君江さん。突如として自由を奪われるも、いま「心のバリアフリー」を広げたいとの思いで情報サイトの運営や講演活動に尽力する池田さんに、絶望に屈しない秘訣、自分らしい人生を生きるヒントをお話しいただきました。

私は高尚な座右の銘なんてありませんけど、お酒をよく飲むので乾杯が大好きなんです(笑)。

乾杯ってこれから楽しい時間が始まる合図でしょう。素敵じゃないですか。

完璧じゃなくていい。楽しみながらも軸さえぶれさせずにコツコツ活動を続けていくことで、少しずつ心のバリアフリーが浸透して、優しいお店が増え、優しい街になり、優しい社会に繋がっていくといいなと思っています

池田君江
NPO法人ココロのバリアフリー計画理事長

(写真=ココロのバリアフリー活動に邁進するきっかけとなった串カツ田中会長・貫啓二氏と共に)

──池田さんは、勤務先の事故で車椅子生活になったご体験を元に、バリアフリー情報の発信をなさっているそうですね。

〈池田〉 
2013年にNPO法人ココロのバリアフリー計画を立ち上げて、「ココロのバリアフリー応援店検索サイト」を運営しています。サイトでは飲食、美容、ショッピング、スクールなど、登録いただいた約3,000の店舗や施設の情報を発信しているんです。

自分が車椅子で外に出て初めて痛感したんですけど、日本ってバリアフリーの施設はだいぶ整ってきましたけど、気持ちの問題がまだ十分整っていないと思うんです。私も実際、バリアフリーを謳っているお店なのに入店拒否されたりして、引きこもりがちになった時期がありました。

でも、ある飲食店との出逢いで、バリアフリー設備の有無は関係なく、訪れる人への優しい気持ちさえあればそこが居心地のよい場所になること、心のバリアフリーが大切だと気づいて、そういう優しいお店を広めたいと。その思いだけで始めた活動なんです。

──車椅子でも安心して入れるお店の情報を提供したいと。

〈池田〉 
私が車椅子生活になった17年前は、、……(続きは本誌にて)

~本記事の内容~
▼優しいお店を広めたい
▼一生寝たきりかよくて車椅子でしょう
▼できないことなんてないし壁があったら壊してあげる
▼車椅子になってよかったね
 
本記事では全3ページにわたって、壮絶な池田さんの半生をお話しいただきました。
幾多の艱難辛苦を乗り換えてきた池田さんがいま、社会活動に込める想いとは――。

プロフィール

池田君江

いけだ・きみえ――昭和50年大阪府生まれ。大学卒業後に上京。平成19年勤務先の温泉施設で爆発事故に遭い、車椅子生活となる。25年NPO法人ココロのバリアフリー計画を設立し、理事長に就任。自身の体験に基づき、バリアフリー情報の提供や、講演活動などを行っている。


編集後記

爆発事故に巻き込まれ、突如車椅子生活となる想像を絶する経験を振り返っていただきながらも、終始毅然とした表情で明るくお話しされる姿が印象的でした。「人生は楽しむことが一番」というモットーを体現される池田さんの体験談には、人生の荒波を力強く乗り越える秘訣が詰まっています。

2024年6月1日 発行/ 7 月号

特集 師資相承

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