師資相承の要諦は直心にあり 河野太通(龍門寺長老)

94歳になるいまなお、毎日現役で坐禅を組み、後進の指導や禅の普及にも力を尽くしている龍門寺長老の河野太通老師。18歳で出家して以来、禅の一道をひたすら歩んできた河野老師に、人生を導いた師の教え、禅における師資相承の要諦、そしていま伝えたい禅の言葉をお話しいただいた。

自己をゼロにして、無にして師に相対する。師匠を疑ったり批判したりしているうちは、やはり本当の教えは入ってこないでしょう

河野太通
龍門寺長老

――河野老師は禅の道一筋に歩み、今年御年94になられたそうですね。いま、どのような心境で仏道に向き合っておられますか。

〈河野〉 
きょうは東京からですか? それはご苦労さんです。

まあ、94になったからといって、何も特別なことはないんです。ことさら仏道を意識して生活しているわけじゃないんでね……。毎日お寺におるというだけで、それが客観的に仏道になっているかどうかは見る方の話。私自身は仏道とも人生とも思わず生活していますわ(笑)。

だから、年齢を重ねていくごとに仏道を忘れていっているんです。それこそ仏道の極意は無心ですから、むしろ忘れていくということでいいんじゃないでしょうかな。

――ああ、仏道が日々の生活、人生そのものになっている。健康長寿のために何か心掛けていることはございますか。

〈河野〉
思い当たるのは、やはり坐禅の呼吸法ですよ。いまも365日のうち、少なくとも300日は、毎朝皆と一緒に本堂で小1時間坐禅をやって、いろいろ質問にも答えております。

禅の呼吸というのは深く吐いて深く吸う、腹式呼吸でやりますけれども、これがまあ、全身に酸素が行き渡るような呼吸法になっているんです。

ただ、……(続きは本誌にて)

~本記事の内容~
▼仏道を学び仏道を忘れる
▼生き方そのものが教え
▼生涯の師との運命の出会い
▼人々のために尽くし切る
▼直心で何事にも向き合う

プロフィール

河野太通

こうの・たいつう――昭和5年大阪生まれ。23年大分県中津市の松巌寺で出家。花園大学卒業後、兵庫県の祥福寺僧堂に入り、山田無文老師に師事。平成6年から13年まで花園大学学長を務める。22年第33代臨済宗妙心寺派管長、全日本仏教会会長に就任。現在は兵庫県姫路市の龍門寺長老として、弟子の育成と共に一般の人々を対象に修行の場を広く提供、禅の普及に力を尽くしている。『ありがとう すみません お元気で』(あさ出版)など著書多数。


編集後記

兵庫県姫路市にある禅の名刹・龍門寺を訪ねると、94歳の河野太道老師は私たちを温かく迎え入れてくださいました。まるで禅問答のような取材となりましたが、禅一筋の生涯から紡ぎ出された師資相承の要諦には、あらゆる分野に共通する真理に満ち溢れ、感動の連続でした。

2024年6月1日 発行/ 7 月号

特集 師資相承

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