頭山満と幕末三舟【英傑に学ぶ日本精神の神髄】 田中健之(歴史作家)

明治から昭和初期にかけて日本の政財界、外交政策に大きな影響を及ぼした頭山満。玄洋社の創設に携わり、道義国家日本の建設、アジア諸国の解放と連帯、世界平和の実現に生涯を尽くした。その頭山が私淑し、精神的な支柱としたのが西郷南洲であり、勝 海舟・高橋泥舟・山岡鉄舟の「幕末三舟」であった。玄洋社初代社長を務めた平岡浩太郎直系の曾孫で歴史作家の田中健之氏に、知られざる頭山の実像とその著書である『幕末三舟伝』を紐解きながら、私たちが伝承すべき日本精神の神髄、日本が進むべき道を語っていただいた。

一人でいて淋しくない人間になれ! 一人で百人の力を持て! 少数の多数、一騎当千の人物になれ!

頭山満

安政2~昭和19(1855-1944)年。黒田藩士。前原一誠の〝萩の変〟に連座して入獄。西南戦争後に出獄し、向陽社(後の玄洋社)を創設。在野にあって民権伸張、大アジア主義を唱え、明治~昭和戦前期の日本の政財界、外交、アジアの独立運動などに大きな影響を与えた。

平素の修養によって己を創り、一人でいて淋しくない人間、一騎当千の人物になる。そういう人物であって初めて、時々の時勢や同調圧力に惑わされることなく、国や社会を平和と発展へと導くことができるのです

田中健之
歴史作家

私は昭和38年、黒田藩士である頭山満、箱田六輔らと共に玄洋社を創設し、初代社長を務めた平岡浩太郎直系の曾孫として福岡に生まれました。自分の生まれについて意識するようになったのは小学3年生の時。お盆に両親、親戚たちと曾祖父の墓参をしたのですが、不思議とお墓から自分が将来進むべき道を感じたのです。

ご先祖様や先人の墓参をし、その精神や歴史を探っていくことを「掃苔行」と言いますが、私も小学3年生の時の体験から、墓石に学ぶことを非常に大事にしてきました。お墓の前に黙って座り自分を無にする。そうすると、今回のテーマ「師資相承」のように、いまは亡き人々が言わんとしたことが直感的に響いてくるのです。

爾来、曾祖父や頭山翁がやり遺したもの、理想とした天下国家とは何か。玄洋社、さらには曾祖父の影響を強く受けた大叔父・内田良平が立ち上げた黒龍會の精神、事績、歴史などについて関心を深めた私は、小・中・高・大学と研究に没頭していったのでした。

現在は、……(続きは本誌にて)

~本記事の内容~
▼墓石を前に先人の声を聴く
▼知られざる玄洋社頭山満の実像
▼『幕末三舟伝』はなぜ著されたのか
▼武道と禅で人物を練り上げる
▼忠孝と尊皇愛国の精神
▼世界に平和をもたらす道義国家たれ

プロフィール

田中健之

たなか・たけゆき――昭和38年福岡県生まれ。玄洋社初代社長を務めた平岡浩太郎の曾孫。幼少より玄洋社、大叔父・内田良平が設立した黒龍會の思想と行動に興味を抱き、孫文の中華革命史およびアジア独立革命史上における玄洋社、黒龍會の歴史的、思想的な研究に従事。拓殖大学日本文化研究所附属近現代研究センター客員研究員、岐阜女子大学南アジア研究センター特別研究員、ロシア科学アカデミー東洋学研究所客員研究員。平成20年、黒龍會を再興し会長に就任。『昭和維新』(学研プラス)、『靖国に祀られざる人々』(学研パブリッシング)など著書多数。


編集後記

元黒田藩士である頭山満たちと共に玄洋社を創設し、初代社長を務めた平岡浩太郎。その直系曾孫である歴史作家の田中健之さんが紐解く頭山の生き方、そして頭山の著書である『幕末三舟伝』には、日本人が失いつつある修養精神、これからの日本が目指すべきあり方が示されています。

2024年6月1日 発行/ 7 月号

特集 師資相承

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