かっこわるくていい 木山裕策(歌手)

2008年、サラリーマンの身から歌手デビューし、デビュー曲「home」でオリコン7位、紅白歌合戦出場を果たした木山裕策氏。順風満帆に見えるその歩みには、自ら「転んでばかりの人生」と表現するように、がん闘病をはじめ、人知れぬ挫折と葛藤があった。病を乗り越え、現在も会社や病院、結婚式等でコンサートを行う氏が、一度きりの人生に懸ける思いとは。

挑戦せずに諦めることは楽ですが、一つだけ間違いないのは、諦めれば絶対に夢は叶わないということです。

転んでもいい、負けてもいい、かっこわるくていい。私たちが生きているのは一度きりの人生なのです

木山裕策
歌手

2008年、39歳の時に「home」で歌手デビュー、同年の紅白歌合戦に出場するまで、私は一介のサラリーマンでした。大学卒業後の4年間は脚本家を目指し、シナリオ教室に通いながらアルバイトで生計を立てていました。なかなか芽が出ない中、同じ教室に通っていた妻と結婚し、一児をもうけます。

経済的な意味でも、きちんと子供を育てたいと考えた私は、脚本家の夢を諦め大手人材会社に就職。もっとも当時は諦めたというより、心を入れ直してよかったという気持ちが強かったかもしれません。夢を追ってもお金にならないし、子供は可愛いし、子供のために汗水垂らして働くほうがよっぽど人間として充実していると感じたからです。しかし突如として、そんな価値観を覆す出来事が起こりました。36歳で甲状腺がんを宣告されたのです。

声を失うかもしれない。それは私にとって、生きる意味すらも揺るがす重大事でした。幼い頃から大の歌好き。嫌なことが起きても、歌っていると生きる活力が湧いてくるほど歌は心の拠りどころでした。厳格な家庭で育ったこともあり、歌手になりたいなど決して口にすることはなかったものの、死を意識した時、胸に秘めていた夢への思いが沸々と湧き上がってきたのです。(続きは本誌にて)

プロフィール

木山裕策

きやま・ゆうさく――昭和43年大阪府生まれ。大学卒業後、脚本教室を経て、大手人材会社に入社。サラリーマン生活の傍ら、歌手を目指し、2008年に「home」でメジャーデビュー。同曲でオリコン7位、紅白歌合戦出場を果たす。現在も会社や学校、病院、結婚式等でコンサート・講演活動を行う。


編集後記

「home」の歌詞の如く、柔らかいお人柄でおられますが、時に力強い語り口でお話しされる姿が印象的でした。一介のサラリーマンから歌手に転身した木山さん。39歳という年齢での再出発には相当な勇気を要したことと思います。背負うものの存在、夢への渇望を力に変え、泥臭く逞しく歩んでこられた木山さんの歩みは、一歩前に進もうとするあなたを強く後押しするはずです。

2024年1月1日 発行/ 2 月号

特集 立志立国

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