2 月号ピックアップ記事 /エッセイ
甦れ、日本の心 春木伸哉(幣立神宮名誉宮司)
国内外から多くの参拝者が訪れる熊本県の幣立(へいたて)神宮。名誉宮司の春木伸哉氏は、すべてを自らの責任と捉えて行動する神道の精神に、いまこそ立ち戻らなくてはいけないと説く。神道を紐解く中で見えてくる日本のあり方と私たちが歩むべき道とは。
神道には「中今(なかいま)」という言葉があります。過去と未来はいまの中にすべて集約されているというのが私の捉え方です。
先祖からの命を受け継いだいまに感謝して幸せに生きることが先祖の命を活かし、明日を幸せに生きることにも繋がると思っています
春木伸哉
幣立神宮名誉宮司
私が名誉宮司としてお仕えする幣立神宮は〝九州のへそ〟とされる阿蘇外輪、熊本県上益城郡山都町の山中に位置します。
当神宮の歴史は悠久なる神話の時代に遡り、それを象徴するのが境内にそびえ立つ檜の天神木です。十世紀に書かれた縁起書によりますと、この巨檜に神漏岐(かみろぎ)、神漏美(かみろみ)の二神がご降臨になり、天照大神は天の岩戸とからご帰還になった後、天神木にお鎮りになったとされています。
太古の神々(人類の祖先)は、大自然の生命と調和する聖地としてここに集い、神々にとって幣立の地は天地・万物の和合する生命の源、祈りの場でもありました。と同時に、人々にとっても神々への感謝を捧げる祈りの場となり、それは連綿と今日に受け継がれています。
阿蘇外輪の豊かな森林と水に守られた壮大なご神域は、参拝に訪れる人々の心を癒やし、ことに近年、神道の始まりを体感できる地として国内はもとより、世界から多くの人たちが訪れるようになりました。「大宇宙大和楽」という詩人・坂村真民先生の詩の言葉もここで生まれました。
プロフィール
春木伸哉
はるき・しんや――昭和12年熊本県生まれ。熊本大学教育学部卒業後、県内の公立小中学校に勤務。平成2年から校長を務める。11年幣立神宮宮司に。著書に『神を受け継ぐ日本人』(徳間書店)『青年地球誕生』(春木秀映氏との共著/明窓出版)など。
編集後記
阿蘇外輪の荘厳な木々の中に立つ幣立神宮を訪れ、名誉宮司の春木伸哉さんにお話を伺いました。神代からの歴史を辿りながら、日本が抱える様々な問題点と日本人がこれから歩むべき道のりを示していただきました。
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