人生の困難を突破できる「心」と「体」を鍛え抜け 小西浩文 (無酸素登山家)

酸素ボンベを使わず、世界の8,000メートル峰の山々を6座登頂してきた無酸素登山家・小西浩文氏。死と隣り合わせの過酷な環境を生き抜いた屈強な体力と精神力はいかに養われたのか。山と対話し続けた氏の20代からその答えを探る。

二十代はその後の人生の礎を築く時期であり、失敗が許される特権を持っています。たとえ躓いても、自分が秘める可能性を信じ、夢や目標に全力で挑み続けていただきたいと切に願います。

人生は死ぬまで修養、死んでも修養です

小西浩文
無酸素登山家

私の二十代は登山以外の記憶は何も残っていないほど、無我夢中に山と向き合い続けた十年間でした。死と隣り合わせの環境で何度も命を落としかけましたが、未来に永遠の暗闇が待ち受けていたとしても仕方がないと覚悟を決め、精いっぱい生き抜いた。だからこそ、いまの私があると思っています。

兵庫県・宝塚で育った私は、幼い頃から山の稜線を乗り越えた先には一体どんな景色が広がっているのだろうかと、山への憧れを強く抱いていました。小学生にもなると週末は近所の六甲山の麓でよく冒険ごっこをしたものです。

そんなある日、いつも通り六甲山の麓で遊んでいると、渓流沿いに聳え立つ高さ四十メートルの垂直な岩壁を颯爽と登るクライマーを目撃しました。手がかりがほとんどないにも拘らず、ロープに頼ることなく登る様子を目の当たりにし、その逞しさに思わず魅せられました。と同時に、私には到底できない、自分は怖がっていると無性に悔しさを味わったのです。

▼「恐怖に打ち克つ」「己の心と体のみで勝負する」「運を強くするために」等、死と隣り合わせの環境下で生き抜いてきた小西さんの足跡には、困難に屈しない「心」と「体」を養うヒントが詰まっています。全文は本誌をご覧ください!

プロフィール

小西浩文

こにし・ひろふみ―—1962年石川県生まれ。15歳で登山を始め、1997年に日本人最多となる「8,000メートル峰6座無酸素登頂」を記録。20代後半から30代前半にかけて3度のがん手術を経験。がん手術の合間に2座の8,000メートル峰、ブロード・ピークとガッシャーブルムⅡ峰の無酸素登頂に成功。がん患者による8,000メートル峰の無酸素登頂は人類初となる。現在は経営者向けの講演活動などを続ける。著書に『生き残った人の7つの習慣』(山と渓谷社)など。


編集後記

死と紙一重の危機を何度も乗り越えてこられた小西さんの佇まいや語り口調からは、優しくも屈強で、まるで祈りのような雰囲気を感じずにはいられませんでした。がんの宣告を受けながらもデスゾーンと称される標高8,000メートル峰の山々を踏破してきた小西さんの20代のお話しからは、不可能といわれる目標を成し遂げるために欠かせない心構えが見えてきます。

2023年7月1日 発行/ 8 月号

特集 悲愁を越えて

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