8 月号ピックアップ記事 /エッセイ
遺品整理は人々の命と心を守るレスキュー隊 横尾将臣(メモリーズ社長)
遺品整理の第一人者として全国の現場を飛び回るメモリーズ社長の横尾将臣氏。その人々の心に徹底して寄り添う仕事の姿勢は、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」で取り上げられるなど、大きな反響を呼んできた。「遺品整理は心の整理」と説く横尾氏の歩みと実践から見えてくる、人生の出会いと別れ、悲愁を越えてよりよく生きる要諦、これから日本が取り戻すべき社会のあり方とは――。
遺品整理の仕事に長く携わる中で皆さんに伝えたいのは、自分もいずれは死を迎える存在であるという死生観を持ち、いま生きていること、家族、友人、地域社会との繋がりが当たり前でないことに気づき、それに感謝してほしいということです。
その感謝の思いを忘れず日々を生きていけば、人生の様々な悲愁を越えて、よりよい人生を実現していけると信じます
横尾将臣
メモリーズ社長
将来の夢はレスキュー隊になって人の命を救うこと―小学生の時に描いた夢は、残念ながら実現することはできませんでした。しかしいま私は遺品整理のプロとして、多くの人の命や心を救っているんだという使命感を胸に、日々仕事に向き合っているのです。
遺品整理の天職と出合うまでには紆余曲折がありました。
1969年、香川県で生まれ大阪で育った私は、いつも外を走り回っている腕白な子供でした。一方、不思議と一度耳にした曲をリコーダーで吹くことができたことから、小学四年生の時に音楽の先生の勧めでサックスを習い始めました。
プロフィール
横尾将臣
よこお・まさとみ――昭和44年香川県生まれ。高校から始めたラグビーで大阪選抜に選ばれたことで、社会人ラグビーの強豪・本田技研工業に入社。怪我などにより退社した後はミュージシャンとして活動し、いくつかの職を経て、平成18年遺品整理会社に入社。20年独立してメモリーズを設立。以後、これまでに5000件を超える遺品整理に携わり、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」に取り上げられるなど、日本における遺品整理の第一人者として活躍を続ける。
編集後記
これまで5000件を超える遺品整理の現場に立ち会ってきたメモリーズ社長の横尾将臣さんの体験談から、人と人との繋がりがなくなりつつある現代日本の問題が浮き彫りになります。私たちはどんな社会をつくっていけばよいのか。悲喜交々のメッセージが心に突き刺さります。
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