社会は数十年をかけて次の新しい時代に備える 佐藤 等(ドラッカー学会理事)

世界中のビジネスマンが日々の指針にするピーター・F・ドラッカーの著書。その言葉や教えはいまなお力強い説得力を持ち、私たちの仕事や人生の指針となっています。
2019年2月号から新たに始まり好評をいただいている連載「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」は、ドラッカー公認の唯一の学術団体であるドラッカー学会の理事を務める佐藤等さんにドラッカーの経営哲学を紐解いていています。
今月号は「社会の変化を観る目を養う」という観点でお話しいただきました。

世界観を変え、価値観を変える。社会構造を変え、政治構造を変える。技術と芸術を変え、機関を変える。やがて50年後には新しい世界が生まれる

ピーター・ドラッカー
(1909年~2005年)

 元号が改まりました。新しい時代の幕開けが期待されます。日本が武家社会から脱却したのは151年前、この間、明治維新、敗戦という二つの大転換期を経験し、先人の奮闘により先進国の一角に名を連ねるまでになりました。

「西洋の歴史では、数100年に1度際立った転換が起こる。世界は歴史の境界を越える。社会は数10年をかけて次の新しい時代に備える。世界観を変え、価値観を変える。社会構造を変え、政治構造を変える。技術と芸術を変え、機関を変える。やがて50年後には新しい世界が生まれる」
(『ポスト資本主義社会』)

 江戸から明治、戦前から戦後、私たちの世界観は大きく変わりました。西洋の歴史ならずともあてはまる普遍性に富む言葉です。しかも変化には時間がかかるとの指摘も重要です。価値観や世界観は、経験が形成するからです。

「歴史にも境界がある。目立つこともないし、その時点では気づかれることもない。だが、ひとたびその境界を越えれば、社会的な風景と政治的な風景が変わり、気候が変わる。言葉が変わる。新しい現実が始まる」(『新しい現実』)

 Windows95の登場によりインターネットの普及が加速したのは、今から24年前、iPhoneが出たのが今から12年前(2007年)です。
 私たちはいつ境界を超えたのでしょうか。気がつけば、スマートフォンの台数がパソコンを超え、街中に監視カメラが溢れ、車の自動運転も目前です。まさに風景が変わりつつあります。このような歴史の境界ともいうべき新しい変化は、実感しにくいものです。
 それゆえ・・・

プロフィール

佐藤 等

さとう・ひとし―昭和36年北海道生まれ。59年小樽商科大学商学部商業学科卒業。平成2年公認会計士試験合格。公認会計士事務所開設。14年同大学大学院商学研究科修士課程修了。ドラッカー学会理事。編著に『実践するドラッカー』シリーズ(ダイヤモンド社)がある。


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