介護食を通じて学んだ「命」と「食」 保森千枝 (クリコ)(介護食アドバイザー/料理研究家)

「クリコ」の愛称で介護食アドバイザーとして活躍される保森千枝さん。2011年に口腔底がんを患い、噛む力を失ったご主人のために介護食をつくり始められました。当時、介護食に関しては全く情報がなかった中、どのように道を切り開かれたのか――。奮闘努力の歩みを伺いました。

主人の姿を見て、「食べることは生きること」だと学ばせてもらいました

保森千枝 (クリコ)
介護食アドバイザー/料理研究家

(介護にはどうしても暗いイメージがありますが、保森さんは非常に明るく楽しんでいる印象を受けます。)

 とんかつなど主人の好物を工夫を凝らしてつくっている時は本当にワクワクしました。主人が食べることが大好きだったこともあり、入院時に7キロ落ちてしまった体重は、何と5か月で元通り。これには病院の先生たちが目を見開いて驚いていましたね。
 体重が増えるということは体力がつくということで、日に日に元気になっていき、目も驚くほど輝き出しました。その主人の姿を見て、「食べることは生きること」だと学ばせてもらいました。

(食べることは生きること。)

 それまでも主人に食事をつくっていましたし、料理教室で指導もしていましたが、その時はおいしさや楽しさばかりが中心で、食べる意味について考えたことはなかったんです。主人が病気になって初めて、「食べるとは」と考えるようになりました。

プロフィール

保森千枝

やすもり・ちえ―昭和35年東京都生まれ。平成10年自宅にサロンスタイルのイタリア料理教室「クチーナ・クリコ」を開設。21年和食料理教室開設。23年口腔底がんの手術により噛む力を失った夫のために、独学で介護食づくりを始める。28年WEBサイト「クリコ流 ふわふわ希望ごはん」の運営開始。26年介護食アドバイザーの資格を取得。著書に『希望のごはん』(日経BP社)『噛む力が弱った人のおいしい長生きごはん』(講談社)がある。クリコは夫がつけた愛称。


編集後記

写真は『噛む力が弱った人のおいしい長生きごはん 誤嚥を防ぐ!』(クリコ・著/監修・阿部仁子)より

バックナンバーについて

致知バックナンバー

バックナンバーは、定期購読をご契約の方のみ
1冊からお求めいただけます

過去の「致知」の記事をお求めの方は、定期購読のお申込みをお願いいたします。1年間の定期購読をお申込みの後、バックナンバーのお申込み方法をご案内させていただきます。なおバックナンバーは在庫分のみの販売となります。

定期購読のお申込み

『致知』は書店ではお求めになれません。

電話でのお申込み

03-3796-2111 (代表)

受付時間 : 9:00~17:30(平日)

お支払い方法 : 振込用紙・クレジットカード

FAXでのお申込み

03-3796-2108

お支払い方法 : 振込用紙払い

閉じる