かくてトヨタ生産方式を伝承してきた 林 南八(元トヨタ自動車技監)

世界に誇る日本の自動車メーカー・トヨタ自動車。その技術職の最高ポストといわれる技監を11年務めたのが林南八氏、76歳である。トヨタ生産方式の生みの親・大野耐一氏らの薫陶を受け、技と魂を伝承すると共に、後進の育成に尽力してきた。戦争の真っ只中に体重1,600グラムの超未熟児で生まれた林氏は、そこからいかにして自らの運命を創り上げ、仕事を発展させてきたのか。波瀾万丈な半生に迫る。

知識は1人が100人、1,000人に対して教育できる。でも、意識はマンツーマンで教えるしかないんです

林 南八
元トヨタ自動車技監

(林さんはこれまで数多くの人を育ててこられたと思いますが、伸びる人と途中で止まってしまう人の差はどこにあると感じられていますか?)

 素質はみんないいものを持ってるんです。ダメな人間っていうのは絶対にいない。でも、自分がダメだと思い込んじゃってる人を導くのはなかなか大変です。そういう人には小さな成功体験を一つずつ積ませるしかありません。
 最近は人財育成などと言って、どこの企業も人事が張り切ってますけど、教育なんかやったって人は育たない。知識は1人が100人、千1,000人に対して教育できる。でも、意識はマンツーマンで教えるしかないんです。

 大野さんが「知識を与える前に意識を植えつけろ」とよく言ってたように、知識を先に教えると、「あっ、それ知ってます」と頭でっかちな人間になっちゃう。反対に意識をまず植えつけてから知識を教えると、どんどん仕事ができるようになっていくんです。
 その一方で、上司の指導をどう受け止めるかという部下の心構えも重要だと思います。やっぱり受け手の姿勢として求められるのは「なにくそ魂」ですね。「なにくそ、負けてたまるか」って気持ちを持つようになると伸びる。最終的に、自分の芽は自分で開かなきゃいけないんです。

プロフィール

林南八

はやし・なんぱち―昭和18年東京生まれ。41年武蔵工業大学(現・東京都市大学)工学部機械工学科卒業後、トヨタ自動車工業(現・トヨタ自動車)入社。生産調査部長、理事などを経て、平成13年技監に就任。21~23年取締役。23年技監に再任。26年顧問。その後、アドバイザーを務め、30年12月に引退。現在は中部インダストリアル・エンジニアリング協会会長を務める。


編集後記

今月号の表紙並びにトップインタビューを飾るのは、元トヨタ自動車技監(技術職の最高ポスト)の林南八さん。豊田章男社長をはじめ、数多くの後進を指導してきた方であり、その仕事術、リーダー論、人財育成法は必読です。滅多にメディアには登場せず、表紙も当初固辞されていましたが、今回特別にお引き受けいただきました。

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