時代を切り拓いた 近代日本のイノベーターたち 米倉誠一郎(一橋大学名誉教授/法政大学大学院教授)

明治維新、戦後復興など世界的に見て奇跡の数々を成し遂げてきた近代日本。その功績はイノベーションと呼ぶに相応しいが、それらのイノベーションはどのようにして生まれたのか。イノベーション研究の第一人者である米倉誠一郎氏に時代背景を踏まえて紐解いていただく。

後世になって私たちの子孫が「どの国が一番頑張ったか」と問うた時、僕は「日本」という名前が一番に出てほしいと思います

米倉誠一郎
一橋大学名誉教授

私は約30年、紆余曲折を経ながらもイノベーション研究をライフワークにしてきました。

しかし最近は、あまりイノベーションという言葉を使わないようにしています。というのも、イノベーションという言葉ばかりが独り歩きをし、それが目的語になっているケースが多いためです。イノベーションがあくまで手段に過ぎないことはこれから紹介する人物の事例を見ればよく分かります。彼らはイノベーションを目指したわけではなく、後から歴史を紐解いた私たちが彼らの行動はまさにイノベーションと呼ぶに相応しいと言っているに過ぎないのです。

殊に幕末の志士たちの変貌ぶり・革新ぶりには目を見張ります。それまでちょんまげを結っていた人たちが、このままでは日本が欧米列強の植民地にされてしまうという強烈な危機感の下に立ち上がり、見事日本を近代国家たらしめました。何が彼らをそうしたのか。まずはその優れた対応力を紐解いていきたいと思います。

そもそも明治維新は世界史的に見て非常に特殊な革命です……

この後はこんな話が続きます

・世界史上稀に見る身分の有償撤廃
・士族の授産産業を支えた武士のディシプリン
・日本経済の土台を築いた財閥の人材登用術
・時代を拓くために大切なイノベーター・スピリット

プロフィール

米倉誠一郎

よねくら・せいいちろう――昭和28年東京都生まれ。一橋大学社会学部、経済学部卒業。同大学大学院社会学研究科修士課程修了。ハーバード大学歴史学博士号取得(Ph.D.)。平成7年一橋大学商学部産業経営研究所教授、9年より同大学イノベーション研究センター教授。プレトリア大学日本研究センター長、ソニー経営戦略室コ・プレジデント、アカデミーヒルズ日本元気塾塾長などを経て、現在CR-ソーシャル・イノベーション・スクール学長、世界元気塾塾長を務める。また、『一橋ビジネスレビュー』編集委員長も兼務。イノベーションを核とした企業の経営戦略と組織の史的研究を専門とする。著作に『経営革命の構造』(岩波新書)『創発的破壊』(ミシマ社)『イノベーターたちの日本史』(東洋経済新報社)など。


編集後記

イノベーション研究の第一人者として知られる米倉誠一郎さんの視点から繙かれる近代日本史は、歴史書には掲載されにくい〝背景〟や〝前後の繋がり〟に光を当てています。なぜ長年鎖国をしていた日本は急速な近代化を遂げたのか、独自の解釈に新たな気づきを得られるでしょう。

2023年8月1日 発行/ 9 月号

特集 時代を拓く

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