向かい風の時には自分に深みをつけよ 堤 裕(紀文食品社長)

竹輪や蒲鉾、おでんの具材など、家庭でもお馴染みの水産練り物でトップシェアの紀文食品。社長の堤裕氏は、激務の合間に毎年多数の本を読む読書家だが、かつては本など必要ないと思っていた時期もあったという。学ぶことの大切さに目覚め、仕事や人生の知恵を求めて真剣に書物と向き合うようになったきっかけは何だったのだろうか。

学びを通じて自分という人間を養っていく。その1つの手段が読書です

堤 裕
紀文食品社長

――堤社長は、読書から得た学びを仕事や人生に生かしてこられたと伺っています。

〈堤〉
子供の頃からいろんな本を読んできましたけれども、いまはその頃のように、ただ好きな本を読んで楽しむといった読書とは全然違うものになっていますね。私の場合、地方の合弁会社への出向を終え、東京へ戻ってきた40代半ばから仕事や人生の知恵を求めて真剣に本を読むようになりました。

その頃から、読んだ本をこんなふうに手帳に記録しているんです。

2002年が48冊。その後67冊、171冊、143冊、146冊と増えていって、コロナ禍で自宅にいることの多かった2020年には292冊読んでいます。

――多忙な社長業の合間に、随分たくさん読んでおられますね。

〈堤〉 
本を読むのは、主に片道1時間の通勤電車の中です。大体2日に1冊くらいのペースで読んでいますが、これだと思った本は付箋を貼りながら何度も繰り返し読みます。特に2007年に取締役総務本部長になり、社員教育に携わるようになってからは、読書に対する真剣味も随分増してきたように思います。

プロフィール

堤 裕

つつみ・ひろし――昭和31年静岡県生まれ。55年慶應義塾大学経済学部卒業、紀文(現・紀文食品)入社。取締役総務本部長、常務取締役マーケティング室長、取締役兼専務執行役員秘書室長などを経て、平成29年社長に就任。


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