7 月号ピックアップ記事 /対談
人間学の学びが子供たちに与えるもの ~日本一に輝き続ける学校は何が違うのか~ 野田一江(箕面自由学園高等学校チアリーダー部監督) 岩城規彦(中村学園女子高等学校剣道部監督)
コロナ禍で満足に教育の機会が提供されず、またIT化により大きく変貌しつつある現代の教育現場。そこに〝人間学〟の学びがもたらされると、子供たちはどう変わるのか。全国優勝常連校として君臨する箕面自由学園高校チアリーダー部と中村学園女子高校剣道部は、共に『致知』を使った勉強会「学内木鶏会」を導入して2年が経過した。両校の監督を務める野田一江氏と岩城規彦氏に、現場の生の声を伺った。
木鶏会では毎月一回、4人一組になって『致知』の記事を読んだ感想文を発表し合っている
生徒が書いた『致知』の感想文。
初めは数行しか感想文を書けなかった生徒も
回数を重ねるごとに自分の考えを上手に言語化できるようになる
何のために学校の勉強を頑張り部活動に精を出すかと言ったら、高校を卒業した後、社会に出て豊かな人生を送るためです
野田一江
箕面自由学園高等学校チアリーダー部監督
私は普段から〝クラブ活動は社会の予備校だ〟と伝えているんですけど、それが『致知』には凝縮されているから、「私はもう何も言わなくてもいいか」と思う瞬間があります(笑)。
高校時代に何のために学校の勉強を頑張り部活動に精を出すかと言ったら、高校を卒業した後、社会に出て豊かな人生を送るためですよね。本人が豊かな人生を送っていれば、それは必ず誰かの役に立つ生き方になっているだろうし、特に女性なので、人を愛して人から愛される人間になってほしいと心から願っています。
木鶏会を始めたのも、色々な学びは絶対にプラスになる、誰かの手助けになる瞬間がくると信じているからです。たったひと言、僅か1行の文章でも、『致知』に掲載されている言葉や考え方は必ず将来役に立つ時が来る。そのために、よい言葉を心に蓄積し、自分の人生の道を切りひらく選択肢をもっと増やしてほしいと思います。
剣道をやる目的は人間形成で、目標が日本一。剣道を学ぶのではなく、剣道を通じて人生を学んでほしい
岩城規彦
中村学園女子高等学校剣道部顧問
僕は『致知』や書物で出逢ったいい言葉やフレーズをノートに書き溜めているんですけど、そのノートを日頃から見返す癖をつけていると、その言葉が自分の中に内面化されるんですね。すると咄嗟の時にあたかも自分の言葉のように出てくる瞬間があって、それは単なる知識で知っている言葉ではなく、実感がこもっているから、子供たちの心にずしりと響くのです。
僕は剣道をやる目的は人間形成で、目標が日本一だと掲げています。剣道を学ぶのではなく、剣道を通じて人生を学ぶ。歳を重ねるうちに、皆いつかは剣道をやらなくなりますよね。でもその時、最後に残るのが小手先の技術ではなく、学びだと思うのです。その学びが実は一番、将来の糧になっていくと思います。
プロフィール
野田一江
のだ・かずえ――昭和40年大阪府生まれ。京都市立堀川音楽高等学校、同志社女子大学学芸学部音楽学科卒業後、クラリネット奏者として活動。平成2年音楽の非常勤講師として箕面自由学園高等学校に着任。3年チアリーダー部創設に際し、〝チア経験ゼロ〟で指導を始める。ジャパンカップ9連覇を含む、全国優勝38回の常勝チームをつくり上げる。
岩城規彦
いわき・のりひこ――昭和44年山口県生まれ。福岡大学付属大濠高等学校、福岡大学卒業。母校の大濠高校で1年、中村学園三陽中学で5年の勤務を経て、平成9年に中村学園女子高等学校に赴任。28年から令和4年まで史上初のインターハイ6連覇中。これまでに21回の日本一を獲得。
編集後記
高校女子スポーツ界において、日本一常連校である箕面自由学園チアリーダー部と中村学園女子剣道部。その強さの背景には『致知』をテキストにした勉強会「学内木鶏会」をはじめ、選手の人間性を高める指導がありました。監督の野田一江さんと岩城規彦さんにその秘訣を伺います。
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