5 月号ピックアップ記事 /対談
誠の花を咲かせる生き方 道下美里(東京パラリンピック 女子マラソン金メダリスト) 浦田理恵(東京パラリンピック ゴールボール女子銅メダリスト)

東京2020パラリンピックの女子マラソンで金メダルに輝いた道下美里さんと、ゴールボール女子で銅メダルを掴み取った浦田理恵さん。両目が不自由になるという人生の試練に直面しながらも、様々な挑戦を続け、世界の舞台で活躍してきたお二人に、人生をひらいていくヒント、自分らしい誠の花を咲かせる生き方について語り合っていただいた。

新しい世界に目を向けることで、自分自身の人生なり、見え方・考え方なりがよい方向に変わっていきました
道下美里
東京パラリンピック 女子マラソン金メダリスト
これまでの歩みを改めて振り返ってみて、私は「新しい世界に目を向ける」ことで、自分自身の人生なり、見え方・考え方なりがよい方向に変わっていったなと思うんです。母に勧められた盲学校への入学も、自分の中では選択肢として全く思いつかなった。
でも、盲学校という全く知らない世界に挑戦する、飛び込んだことで、物事の見え方・考え方が変わり、新しい目標ができ、毎日の習慣・行動が変わり、どんどん人生が変わっていった。それはブラインドマラソンでも同じです。

感謝の気持ちと共に生きることがよりよい人生、自分の花を咲かせることに直結していきます
浦田理恵
東京パラリンピック ゴールボール女子銅メダリスト
ゴールボールに出合って、私は真剣に努力することの楽しさ、夢や目標を実現するには人と人との協力、繋がりが必要だということを教えてもらった。だから、これからは後進のサポートをしながら、ゴールボール、パラスポーツの普及を通じて人と人を繋ぎ、お互いが思い合える、子供たちが夢を描ける、そんな社会の実現に挑戦していきたいなって思います。
道下さん、きょうは素晴らしい時間をありがとうございました。
プロフィール
道下美里
みちした・みさと――昭和52年生まれ、山口県下関市出身。中学2年生の時に右目を失明。25歳の時、左目に原因不明の難病を発症し、のちに「膠様滴状角膜ジストロフィー」と判明。平成15年盲学校に入学し、在籍中に陸上競技と出合う。最初はダイエット目的で走り始め、20年フルマラソンに挑戦。その後も「あきらめない心」「挑戦する心」をモットーに、数々の大会に出場。28年三井住友海上に入社。29年女子視覚障がいマラソンの世界記録を樹立し、その後2度更新。令和3年東京パラリンピック女子視覚障がいマラソンで金メダルを獲得。
浦田理恵
うらた・りえ――昭和52年熊本県生まれ。20歳を過ぎて「網膜色素変性症」と診断される。視力センターに入所した際、卒業生の小宮正江選手が活躍する姿に憧れゴールボールを始める。平成21年世界を目指すパラアスリートを現役時代だけに限ったサポートではなく、アスリートとしても社会人としても生涯、社会に参画できるよう仕事と競技の両立をはかり活動することを目的とした組織「シーズアスリート」に所属し、総合メディカル㈱の社員となる。24年ゴールボール競技の日本代表副主将としてロンドンパラリンピックに出場し、金メダルを獲得。リオデジャネイロ2016パラリンピック5位、東京2020パラリンピックで銅メダルを獲得。
編集後記
世界中に感動を与えた東京パラリンピックの女子アスリート道下美里さんと浦田理恵さんに、これまでの栄光と挫折の道のりを振り返っていただきました。驚嘆すべきは共に視力をほぼ失った後、素人同然で競技を始め、メダリストに至ったこと。人間の可能性は無限大だと教えられます。

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