12 月号ピックアップ記事 /インタビュー
修養の人・武田信玄に学ぶ 乱世を生き抜く指導者の条件 古川周賢(臨済宗妙心寺派 乾徳山恵林寺 住職)
〝甲斐(かい)の虎〟〝戦国最強〟と恐れられた戦国武将・武田信玄。今年生誕500年の節目を迎え、その生き方やリーダーとしてのあり方に改めて注目が集まっている。武田信玄の菩提寺である禅の名刹(めいさつ)・恵林寺(えりんじ)の住職を務める古川周賢老大師に、武田信玄の知られざる一面を紐解きながら、混迷を深める現代に求められるリーダーの条件を語っていただいた。
人の二倍、三倍の学問修養を重ね、得意なことでも苦手なことでも勝負できる〝総合力〟を備えた人間が死中に活を見出し、人や組織を導く真のリーダーになれる
古川周賢
臨済宗妙心寺派 乾徳山恵林寺 住職
信玄公が生きた戦国時代というのは、明日誰に裏切られるか分からない、生きるか死ぬかの過酷な日々、戦いの連続です。また、現代のように高度な科学技術や分析手法もないため、戦いの勝ち負けは目に見えない要素、偶然的な要素に多分に左右されました。
ですから、その想像を絶する孤独と不安、プレッシャーに押し潰されることなく、様々な条件を検討して決断を下し、家臣団をまとめ、国を守っていくためにも、戦国の世のリーダーには単なる知識やテクニック以上のもの、即ち何があっても揺るがない確固たる世界観・人生観、物事を多面的・俯瞰的に見る見識、周囲を感化する人格力・人間力が求められたのです。
〈中略〉
ですから、いまリーダーの立場にある方々も、唯一の正しい答えなどない、先行きの見えない不確実な現実の中で決断を下し、人や組織を導いていくためには、その拠りどころとなる確固たる世界観・人生観を不断の学問修養により培っておくことが求められます。
プロフィール
古川周賢
ふるかわ・しゅうけん―昭和42年岐阜県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程を修了、博士号取得。平成9年京都紫野大徳寺専門道場に掛搭。23年山梨県甲州市妙心寺派乾徳山恵林寺副住職、26年より現職。
武田信玄
たけだ・しんげん―大永元(1521)年~元亀4(1573)年。戦国時代の武将。名は晴信。信玄は法名。実父・信虎を国外に追放して甲斐の守護となり、信濃一円を制し、上杉謙信などと激戦を繰り返す。京都進出を企てて三方ヶ原で徳川家康を破り、三河に入ったが、病が悪化し53歳で病没。
編集後記
今年生誕500年を迎えた戦国大名・武田信玄。その菩提寺である恵林寺住職の古川周賢さんに、信玄の知られざる一面と共に、歴史の偉人が教えるリーダーの条件を語っていただきました。
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