「患者を絶対に断らない」この誓いが人と地域を変えた 江角悠太(志摩市民病院 院長)

毎年億単位の赤字を重ね続ける中、医師が一斉に退職、閉鎖やむなしと思われた志摩市民病院。しかしそこに一人残った34歳の若き医師が、病院の再建に成功する。「世界平和」という壮大な夢を真剣に描き、すべての人を幸せにしたいとの思いから地域医療に飛び込んだ江角悠太氏だ。落ち込んだ職員の心、地域の活力をどう引き出したのか。その軌跡に迫る。

死は決して敵ではない。医者にとって最大の敵は「無関心」だと私は思います

江角悠太
志摩市民病院 院長

 正直なところ、医学界では高齢者の寿命は延ばしても、生の質を高めることにはなかなか重きを置かれることが少ないと感じました。医学では解決できない問題に向き合ったとしても、人の健康に最後まで責任を持つのが医者の仕事。他の職種の能力を活かしてでも、共に最後まで診続ける必要があります。患者さんは最後まで医者を必要としているからです。
 だから、亡くなる瞬間まで生きている時間の質を上げることはとても大事なんです。死ぬ間際に「最後まで幸せだったよ」と言ってもらえるようにしなくてはいけない。まさにこれはパッチ・アダムスがやったことです。
 死は決して敵ではない。医者にとって最大の敵は「無関心」だと私は思います。医者が患者さんの人生に関心を持たなくなった時、それが患者さんにとっての最大の敵です。患者さんを一人の人間として関心を持つ。それは「愛する」に近い言葉だと考えています。

プロフィール

江角悠太

えすみ・ゆうた――昭和56年東京都生まれ。平成21年三重大学医学部卒業。沖縄県中部徳洲会病院での初期研修を修了後、23年より後期研修医として三重県内の地域基幹病院、大学病院で研修。26年12月より国民健康保険 志摩市民病院に着任、28年4月より同病院院長に就任。全国自治体病院協議会三重県支部長。地域包括ケア病棟協会理事、TAO(地域創生医師団)団長、未来の大人応援プロジェクト理事、東京医科歯科大学臨床准教授、三重大学医学部臨床講師。


編集後記

志摩市民病院を再生へ導いた院長の江角悠太さん。職員や地域住民の内なる愛を呼び起こす姿に長のあり方を教えられます。

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