1 月号ピックアップ記事/対談
清き明き直き心こそ誠への道 後藤俊彦(高千穂神社宮司)山谷えり子(参議院議員)

〝天孫降臨の地〟〝神々の里〟として知られる宮崎県高千穂。いまから約1,900年前、垂仁天皇の時代に創建され、高千穂八十八社の総社として鎮座するのが高千穂神社である。宮司を務める後藤俊彦氏はこのたび神職に就いて50年の節目に、神社界最高位の称号「長老」を授与された。後藤氏と親交が深く、日本の歴史や伝統文化に精通している自由民主党の参議院議員・山谷えり子氏と共に、記紀神話を繙きながら日本人の精神・生き方の源流を辿っていく。

歴史とは民族一人ひとりの心の中にあるもので、伝統と断絶しては文化も国もありません
後藤俊彦
高千穂神社宮司
後藤
山谷先生、きょうはお忙しいところ、遠路遥々ご参詣賜り、誠にありがとうございます。
山谷
高千穂にはこれまで何度か訪れていますが、いつ来ても穏やかで明るく、いまと神話の時代が繋がっていて、包まれているなとつくづく感じます。
私は以前から家族や地域の絆という日本の国柄のもとに政策をつくっていきたいと考えて活動してきました。そういう中で後藤宮司様と出逢い、お話を聴きましたら、日本一の神道の語り部じゃないかと思うくらい(笑)、すごく感動したんです。もう二十年近く折々にお話を聴かせていただいています。
学生時代に『古事記』が大好きで読んではいたんですけれども、日本の神道は考える宗教ではなく感じる宗教であって、その感じる心を私の中に伝えてくださったという印象が強くあります。
後藤
山谷先生は凛としていて、とにかく物事を深く理解しておられます。だから、こう言っては失礼ですが、政治家には珍しいですよね(笑)。おそらく非常に純粋な信仰心、それは決して限定的ではなく、神聖なものに対する感受性がとても強いのだと思います。

私たちはご先祖様や神仏と一緒に過ごしている、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)の中で紡がれながら生かされている
山谷えり子
参議院議員
山谷
福井県の出身で明治生まれの祖母が敬神崇祖の心を持っていました。私はそういう空気の中で育てられましたので、いまはよく「自分が、自分が」と言いますけれど、ご先祖様や神仏と一緒に過ごしている、経糸と緯糸の中で紡がれながら生かされているという感覚が子供の頃からありました。神道で言えば、過去と未来をたまたま今、中で繋がせていただいている「中今人(なかいまびと)」なのだと。
後藤
乳幼児期における家庭の環境や教育がその人の性格をつくる上で非常に重要な基盤になるんですよね。三つ子の魂百までと言うじゃないですか。だから、三つ子までの時期というのは一番大事な人間教育のスタート地点ですし、それは国の歴史で言えば、神話の時代ということなんです。
美しくて豊かでいい神話を持っている民族は、そういう国民性が紡がれていきますし、自国の神話を失った民族は何を基軸にして生きていったらいいのか、アイデンティティーをつくるのが大変じゃないかという気がします。
プロフィール
後藤俊彦
ごとう・としひこ――昭和20年宮崎県高千穂町生まれ。43年九州産業大学商学部卒業後、参議院議員秘書となる。國學院大學神道学専攻科並びに日本大学今泉研究所を卒業し、56年高千穂神社禰宜を経て宮司に就任。同神社に伝わる国指定重要無形民俗文化財「高千穂夜神楽」のヨーロッパ公演を二度にわたって実現。62年神道文化奨励賞受賞。神道政治連盟副会長、高千穂町観光協会会長などを歴任。令和3年神社本庁より神社界最高位の「長老」を授与される。著書に『神と神楽の森に生きる』(春秋社)など。
山谷えり子
やまたに・えりこ――昭和25年東京都生まれ。48年聖心女子大学卒業後、新聞記者、テレビキャスター、コラムニストとして活躍。平成12年衆議院議員初当選。16年参議院議員(全国比例区)当選。第一次安倍内閣では総理大臣補佐官(教育再生担当)として60年ぶりの教育基本法改正に尽力。第二次・第三次安倍内閣では、国家公安委員会委員長、拉致問題担当大臣、海洋政策・領土問題担当大臣、国土強靱化担当大臣、内閣府特命担当大臣(防災)として入閣。著書に『新しい「日本の歩き方」』(扶桑社)など。
編集後記
10月下旬、噴火して間もない雄大な阿蘇山を左手に眺めつつ、熊本空港から車を走らせること約1時間30分。
神代の世界がいまなお息づく高千穂神社に到着すると、宮司の後藤俊彦さんが出迎えてくださいました。
参議院議員の山谷えり子さんもこの取材のためだけに出張してくださり、2時間があっという間に感じられるほど深い学びと感動の対談でした。
天孫降臨や神武東征にまつわる神話、日本建国の理念、稲作文化がもたらしたもの、さらには戦後教育の問題点とこれからの家庭教育・学校教育のあり方、かつて荒んでいた高千穂神社の再建の道のり、次世代に語り継ぎたい日本の心……。
これら多岐にわたるお話を通して、皇紀2681年、統一国家として世界最古の歴史を有する我が国の原点、私たちの魂の故郷、日本人が日本人たる所以とは何かを気づかせてくれます。

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