近代日本を築いた明治の気概 渡辺利夫(拓殖大学学事顧問) 新保祐司(文芸批評家/都留文科大学名誉教授)

近代化という難事業を僅か四十数年で成し遂げ、世界の文明国として躍り出た明治日本。その凄まじいまでのエネルギーと気概は一体どこから生まれてきたのか。それぞれ日本近現代史、明治の文化に造詣の深い、拓殖大学学事顧問の渡辺利夫氏と文芸批評家の新保祐司氏に、明治精神の神髄、明治の気概が私たちに教えるものを縦横に語り合っていただいた。

明治維新は〝維新〟ではなく〝革命〟と言ってよいだろうと思います

渡辺利夫
拓殖大学学事顧問

「I for」の精神を別の表現で言えば、「公」「利他」ということになるのでしょうが、長い日本の歴史の中で明治ほどそうした観念が生きていた時代はなかったのではないかと私も思います。個人の栄達と国家の興隆が矛盾なく収まっていたのが明治時代だった。

私が惹かれたのは明治時代が持つ〝悲劇性〟です

新保祐司
文芸批評家/都留文科大学名誉教授

 現代人が明治時代から学ぶべきなのは、やはり「~のために生きる」という「I for」の精神だと思うんです。「for me」では自律自助の人生、社会も国家も実現することはできません。

プロフィール

渡辺利夫

わたなべ・としお――昭和14年山梨県生まれ。慶應義塾大学卒業後、同大学院博士課程修了。経済学博士。筑波大学教授、東京工業大学教授、拓殖大学長、第18代総長などを経て、現職。外務省国際協力有識者会議議長、アジア政経学会理事長なども歴任。JICA国際協力功労賞、外務大臣表彰、第27回正論大賞など受賞多数。著書に『神経症の時代 わが内なる森田正馬』(文春学藝ライブラリー)『士魂-福澤諭吉の真実』(海竜社)などがある。

新保祐司

しんぽ・ゆうじ――昭和28年宮城県生まれ。東京大学文学部卒業。『内村鑑三』(文春学藝ライブラリー)で新世代の文芸批評家として注目される。文学だけでなく音楽など幅広い批評活動を展開。平成29年度第33回正論大賞を受賞。著書に『明治頌歌-言葉による交響曲』(展転社)『明治の光 内村鑑三』『「海道東征」とは何か』(共に藤原書店)など多数。


編集後記

帝国主義の時代、凄まじいエネルギーで近代化を成し遂げ、文明国として世界の舞台に躍り出た明治日本。拓殖大学学事顧問の渡辺利夫さんと文芸批評家の新保祐司さんが熱く語り合う、明治精神の神髄、明治人の気概は、現代日本、そしていまを生きる私たちが進むべき道を示してくれます。

2019年12月1日 発行/ 1 月号

特集 自律自助

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