大昔見たであろう風景の再現 西川真祐乃(日本舞踊家)

日本舞踊家・西川流師範として、由緒ある文化財での日本舞踊公演(大昔武家屋敷で大名が見たであろう風景の再現)や後進の指導、介護施設での福祉活動など、幅広い分野で活躍する西川真祐乃さん。幼少期からこの道に入り、終わりなき舞踊の道を歩み続ける西川さんに、これまでの歩みと日本舞踊、日本の伝統文化継承への思いを語っていただきました。

いま改めて心に蘇ってくるのは、「目の前の一つひとつの物事に真心を込めなさい」という先代の奥様の教えです。
苦しい時に支えにしてきた奥様の教えにいま一度立ち返る時なのかもしれません

西川真祐乃
日本舞踊家
【撮影=宮原夢画】

日本舞踊は私にとって幼少期から身近なものでした。某新聞社の政治特派員だった父は海外での単身赴任が多く、母と私たち姉妹は母の実家がある岡山県で多くの時間を過ごしていました。

幸い生活環境は豊かで、物心がついた頃から、日本舞踊や茶道の先生を自宅に招き手ほどきを受ける祖母や母の姿がありました。

とりわけ母は日本舞踊が大好きで、『岡山新聞』で紹介いただくほどでした。祖母と母は、私にどうしても本格的に日本舞踊を習わせたくて、私を連れては京都の老舗の呉服店に足を運びました。着物や帯を選び舞妓さんと同じような簪(かんざし)なども合わせて着飾ることが楽しみな様子でした。

「日本舞踊の舞台はね、簪をたくさんつけて可愛い着物を着たお嬢さんが大勢出演しているのよ。白塗りして可愛らしいね」。この言葉が私の日本舞踊を習うきっかけです。

「せっかく日本舞踊を習うのなら、東京にいらっしゃる大きな先生に手解きを受けなさい」という祖母、母の計いにより、十代で西川流の門を叩きました。師は宗家西川扇藏先生(人間国宝)です。

先代のお家元からは、お稽古で「素直に正しく教わる」という簡単なようで難しい心得を教わり、先代の奥様からは人を敬い感謝の気持ちを表す礼法をご指導いただきました。

稽古で宗家から最も強く教えられたのは自分を出し過ぎず、素直に言われたとおりに踊ること、西川流の正確な間の取り方を徹底して身につけることでした。……(続きは本誌をご覧ください)

プロフィール

西川真祐乃

にしかわ・まゆの――日本舞踊家、西川流師範/大昔見たであろう風景の再現 日本舞踊公演主催者。10代で西川流の門を叩き、宗家西川扇藏師(人間国宝)に師事。宗家主催【西川会】「鷺娘」にて名披露目『真祐乃』の名が許される。西川会では「鷺娘」「櫓のお七」「藤娘」等に舞台出演。『大昔武家屋敷で大名が見たであろう風景の再現、日本舞踊公演』として、料亭二木屋「国登録有形文化財」、雅叙園「鷲の間・竹林の間」、椿山荘「東京雲海」など由緒ある建物で公演活動を続ける。


編集後記

10代から西川流を学び、いま日本舞踏家として活躍を続ける西川真祐乃さん。料亭二木屋「国登録有形文化財」、雅叙園「鷲の間・竹林の間」、椿山荘「東京雲海」など、歴史的にも貴重な建物にて開催する『大昔武家屋敷で大名が見たであろう風景の再現』は、リピーターも多い人気の公演です。日本舞踊を通じて日本の伝統文化を守り伝えようとする西川さんの志、情熱が伝わってくる取材でした。

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