11 月号ピックアップ記事 /インタビュー
障がい者の夢の実現に生きる 山田昭義(AJU自立の家 常務理事)

障がい者の自主自立した社会生活を総合的にサポートする社会福祉法人「AJU自立の家」(愛知県名古屋市)。現在のような障がい者福祉、バリアフリーの街づくりなどがほとんどなかった60年前、障がい者の自主自立を目指して有志で活動を始めたのが、AJU自立の家 常務理事を務める山田昭義氏、84歳である。「重い障がいがあっても、誰もが人としての尊厳を持って生活できる社会を実現する」という夢を胸に抱き、道なき道をひらいてきた山田氏に、乗り越えてきた試練、心の支えにした信念をお話しいただいた。
【写真=障がい者の方々がいきいきと働く小牧ワイナリー】

どんなに重い障がいがあっても、誰もが人としての尊厳を持って生活できる社会をこれからも目指し続けていきたい。それがいまの私の願いであり、追い続ける夢ですね
山田昭義
AJU自立の家 常務理事
――山田さんが常務理事を務めている「AJU(愛の実行運動)自立の家」は、障がい者の方が地域社会の中で自立して生活できるよう、時代に先んじた様々な取り組みを行ってこられたそうですね。
<山田>
近年、「地域移行」(福祉施設や病院などの環境から、地域社会で自立した生活を送ることを目指す)という言葉がよく聞かれます。しかし私たちは昭和60年頃からその大切さを認識し、勉強会を重ね、平成2年に「AJU自立の家」をスタートさせたんです。
後から詳しくお話ししますが、設立のきっかけは、寬仁親王殿下より「障がい者の〝下宿屋〟をつくってはどうか」と、提言をいただいたことでした。AJU自立の家の福祉ホーム「サマリアハウス」に下宿しながら、地域の方々と交流し、様々な技術、知識を身につけた仲間たち(利用者)は、4年経つと、地域に家を探して独立生活に移っていきます。ここが一般的な福祉ホームとは違う点です。
ただ、社会に出て行っても、独立して生活するためには仕事も介助も必要です。ですから、AJU自立の家では、「わだちコンピューターハウス」などの働く場、介助支援や緊急時の介助派遣事業も運営しています。いわば「暮らしの拠点としての下宿屋」「地域社会・仲間との交流の場」「持てる機能を活かす働く場」、その3つを備えたのが「AJU自立の家」なんです。
――障がい者の自主自立を総合的にサポートしているのですね。
<山田>
3つの場は、同時に立ち上げました。私が「1つでも大変です」と、寬仁親王殿下に申し上げたところ、「3つ一緒につくることが大切だ」とおっしゃり、企画から施設建設まで多岐にわたる御指導、御尽力をいただきました。
立ち上げは大変でしたけれども、これまで170人を超える仲間が下宿屋を卒業し、自立した生活を送っています。仲間同士で結婚して子供ができた人もいますよ。いまでは設立してよかったなと、殿下には心より感謝しています。……(続きは本誌をご覧ください)
~本記事の内容~
◇障がい者の自立を支援する〝下宿屋〟
◇首の骨を折る事故で突然、寝たきり生活へ
◇刎頸の友と夢を語り自立を目指す運動へ
◇障がい者でも有意義な人生を送ることができる
◇誰もが尊厳を持って生きられる社会を
プロフィール
山田昭義
やまだ・あきよし――昭和17年愛知県生まれ。15歳の時の事故で頸椎を損傷、胸から下が動かない重度障がい者となる。10年に及ぶ病院生活を経て、通信制高校のNHK学園、中央大学の通信教育で学ぶ。その後、障がい者の福祉向上、自立した生活を実現するべく、同志と共に「愛知県重度障害者の生活をよくする会」を設立。様々な取り組みを続ける中で、寬仁親王殿下との出逢いをきっかけに、平成2年、障がい者の自立した生活を総合的に支援する「AJU自立の家」の設立に尽力。現在常務理事を務める。
編集後記
愛知県名古屋市にあるAJU自立の家で山田昭義さんのインタビューは行われました。穏やかな語り口ながら、障がい者の福祉と自立の実現に向けて全力を尽くしてこられた山田さんの熱い思い、祈りのようなものをひしひしと感じる取材となりました。後日、隣接する教会で行われた撮影での山田さんの表情からも、お人柄が偲ばれます。

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