通さぬは通すがための道普請 大久保裕行(ダスキン社長)

各界を代表する企業、機関、団体を牽引してきたリーダーに、人生観・仕事観を形成した体験や、貫いてきた信条を披歴いただく連載「私の座右銘」。
今回ご登場いただいたのは、清掃用具のレンタルやお掃除サービス、また「ミスタードーナツ」でも知られるダスキンの大久保裕行社長です。全国各地にフランチャイズ展開する同社は、共働き家庭の増加による訪問の難化、コロナ禍による外出自粛といった逆風の中でも、着実に事業を発展させてこられました。
新卒で入社し、約40年。2022年にトップとなった大久保社長の原点は、創業者が遺した経営理念や言葉への感動でした。

「通さぬは通すがための道普請(みちぶしん)」

道普請とは、道路工事のことです。目の前に立ち塞がる障害は、自分を成長させ、その道を切り拓く力を与えてくれるのだ――

大久保裕行
ダスキン社長

「働きさん」。現在私が社長を務めるダスキンでは、本部やフランチャイズ加盟店で働く社員をそう呼んでいます。自分を顧みず、他人のために一所懸命働くと、喜ばれ感謝される。そこに自らもやりがい、生きがいを感じる……そんな「傍(はた)を楽にする人」であってほしい、という願いが込められています。

このような働きさんが集う当社の事業の柱は、大きく2つあります。家庭やオフィス向けにモップやマットなどの清掃・衛生用品のレンタルと合わせて、様々な暮らしのお困りごとをサポートする専門的なお掃除や家事サービスの提供、高齢者の暮らしのサポート、イベントの企画運営などを展開する訪販事業と、国内外で親しまれている「ミスタードーナツ」などを展開するフード事業です。私どもは、フランチャイズ加盟店、そして現場で働く方々が同じ想いで歩んでいます。

私が入社するきっかけは大学時代、当時ダスキンで働いていた姉の友人から1冊の本を借りたことでした。創業者・鈴木清一の語録『ダスキン 祈りの経営』(致知出版社)。この本を読んで興味を抱き、当社のことを調べるうち、経営理念にある一文が心に残りました。
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~本記事の内容~
◇損と得とあらば損の道をゆくこと
◇経営への厳しさと社員への愛
◇いかなる社会変化にも「人とのつながり」が鍵

プロフィール

大久保裕行

おおくぼ・ひろゆき――昭和37年大阪府生まれ。60年大学卒業後、ダスキン入社。平成30年執行役員 経営企画部長、令和2年取締役。以降経営企画部等を管掌し、3年取締役 執行役員 本社企画グループ担当。4年より代表取締役 社長執行役員。


編集後記

月刊『致知』は、創刊間もない頃に創業者・鈴木清一様に登場いただいたのを機に、語録を出版するなどご縁を頂戴してきました。このたび現社長・大久保裕行さんに取材をお申し込みしたところ、なんと、その語録が入社のきっかけになったと知り、驚きと嬉しさが入り混じった感情になりました。多彩に展開する事業はすべて「喜びのタネまき」。創業者が様々な試練を越えて至った経営の思想を、様々な社会変化の中で実践されてきた同社と大久保社長の歩みに、学びをいただきました。

2026年6月1日 発行/ 7 月号

特集 続けてこそ道

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