7 月号ピックアップ記事 /エッセイ
村上和雄先生に学んだスイッチ・オンの生き方 堀 美代(心と遺伝子アカデミー代表)

遺伝子工学の世界的権威にして、人智を超えた働き「サムシング・グレート」の存在に目を向け、私たちに生命の神秘さと生きるべき道筋を示し続けた村上和雄先生。生命科学研究に従事すること60余年。その過程で辿り着いた珠玉の教えは、没後5年を迎えたいまなお色褪せることはない。17年間村上先生と研究を共にしてきた堀 美代さんに、未踏の地平を拓いた村上先生の研究人生、人間の秘める可能性を開く秘訣を伺った。
【写真=ダライ・ラマ法王と笑顔で写真にうつる村上先生と堀さん(右から2人目)。堀さんはこの写真をお守りのように肌身離さず持ち歩いている】

人間には、まだ眠っている素晴らしい力がある
村上和雄(むらかみ・かずお)
昭和11年奈良県生まれ。38年京都大学大学院博士課程修了。米国バンダビルト大学助教授などを経て、53年筑波大学応用生物化学系教授に就任。58年には昇圧酵素「レニン」の遺伝子の全暗号解読に初めて成功。遺伝子工学の分野で世界をリードした。平成8年日本学士院賞を受賞。11年筑波大学を定年退官したのちに参加したイネゲノム解読の国家プロジェクトで、遺伝子の完全解読を世界に先駆けて成功させた。23年瑞宝中綬章受章。令和3年4月13日逝去。著書に『スイッチ・オンの生き方』『人を幸せにする遺伝子の法則』(いずれも致知出版社)など多数。

たとえすぐに結果が出なくても、自分が大切だと信じることを誠実に続ける。
その積み重ねが、やがて一つの道に繋がっていく。
まさに「続けてこそ道」という言葉を、先生はご自身の人生を通して示してくださったように思います
堀 美代
心と遺伝子アカデミー代表
村上和雄先生が亡くなられて、早くも5年の歳月が経過しました。しかし、17年間研究を共にしてきた私はいまなお先生の存在をとても身近に感じています。
先生は遺伝子工学の第一人者として、心のあり方が遺伝子の働きに影響を及ぼすというメッセージを私たちに送り続けてくださいました。先生が心と遺伝子の関係を証明するために「心と遺伝子研究会」を設立した2002年頃は、科学者が心をテーマに扱うことは敬遠される面もありました。ただ、年月が経つほどに、先生が遺された言葉の意味が少しずつ理解されつつあるように思います。そう考えると、先生は先の時代を見据えておられたのだと実感します。
先般、致知出版社から『スイッチ・オンの生き方』の新装版、絶筆となった連載「生命科学研究者からのメッセージ」を書籍化した『人を幸せにする遺伝子の法則』が刊行されました。これらを読み終えて改めて感じたのは、先生は一貫して、人の可能性を信じ続けておられたということです。
「人間には、まだ眠っている素晴らしい力がある」。不安や分断の多い現代だからこそ、先生の言葉は以前にも増して多くの人の心に響くのではないでしょうか。
村上先生が天寿を全うされたのは2021年4月13日でしたが、実はその数日前、先生とディスカッションをしながら1年掛けて執筆した英語の書籍をお渡ししたばかりでした。亡くなる2日前にも、……(続きは本誌にて)
~本記事の内容~(全5ページ)
◇研究者であり続けた85年の生涯
◇研究に向き合う姿勢が人格を磨く行為である
◇「天に貯金をしておけば、世界中を飛び回れる」
◇かくして世界をリードする研究を成し遂げた
◇よい遺伝子を目覚めさせる6つの習慣
◇サムシング・グレートは外にも自分自身にも存在する
プロフィール
堀 美代
ほり・みよ――昭和37年鹿児島県生まれ。九州大学、筑波大学生命環境科学研究科博士課程卒業。製薬会社、ベンチャー企業の研究員を経て、平成16年より公益財団国際科学振興財団バイオ研究所にて村上和雄先生の下で研究に従事。現在は心と遺伝子アカデミー代表、筑波大学非常勤研究員兼務。
編集後記
遺伝子工学の世界的権威で、長年本誌を応援してくださった故・村上和雄先生。17年間、公私共に親交があった堀美代さんの敬慕に満ちた語りに感じ入るばかりでした。研究室での素顔をはじめ、堀さんにしか知り得ないお話を通して、在りし日の村上先生の姿が甦ってきます。

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