脳科学の研究から見えてきた子育ての要諦 小泉英明(東京大学先端科学技術研究センター フェロー)

世に子育てに関する本は数多あるが、何を指針にすればよいか迷う方もいらっしゃるのではないだろうか。日立製作所や東京大学先端科学技術研究センター等で、50年以上にわたり脳科学の研究を重ねてきた小泉英明氏に、子供の脳の発達段階に則した子育ての要諦を繙いていただいた。人間が幸せに生きるための本質とはいかなるものかを気づかせてくれる。

脳科学の研究を長年続け、そこに私自身の経験をも重ね、人間が幸せに生きるために最も大切なのは、「感謝の心」だとつくづく実感しています

小泉英明
東京大学先端科学技術研究センター フェロー

現在の教育は教科書やマニュアルを使って知識や技術を身につけることに重点が置かれています。もちろんこれらは必要ですが、知識や技術に偏った教育だけでは肝腎の心が育ちません。

思いや情熱がなければ、いくら知識や技術があっても、これを駆使してその先に進むことはできない。逆に思いや情熱さえあれば、知識や技術は自ずと高まっていくのです。

AIが進歩する中で、音楽や美術の授業を減らそうとする動きもあるようですが、心の感動を育む教育を蔑ろにするのはまさに本末転倒です。目に見えて現れる枝葉や上澄みだけではなく、目に見えない根本、本質的な部分を鍛えていかなければいけません。……(続きは本誌をご覧ください)

本記事の内容 ~全4ページ(約6,000字)~
◇人間の脳は進化し続けている
◇測ることが大好きな科学少年から研究者へ
◇コホート研究によって子供の脳の発達が明らかに
◇褒めて育てるか 叱って育てるか
◇自然体験が気づく力を養う
◇幸せに生きるために最も大切なこと

プロフィール

小泉英明

こいずみ・ひであき――昭和21年東京都生まれ。46年東京大学教養学部基礎科学科卒業、同年日立製作所計測器事業部入社。51年東京大学に論文を提出し、理学博士。基礎研究所所長、技師長などを経て、平成29年同社名誉フェロー。31年東京大学先端科学技術研究センターフェロー。世界初の微量元素の測定手法、国産初の超電導型MRI(磁気共鳴描画)装置を開発。さらに、fMRI(機能的磁気共鳴描画)装置や光トポグラフィ法によって、脳科学と教育、科学と倫理の問題にまで研究対象を広げてきた。日本工学アカデミー顧問。著書に『アインシュタインの逆オメガ 脳の進化から教育を考える』(文藝春秋)など。


編集後記

人間の脳は38億年前の太古から現在に至るまでずっと進化し続けている――。これは脳科学者の小泉英明さんが50年以上の研究を重ねて辿り着いた一つの結論だといいます。小泉さんが語る机上の空論ではない、科学的根拠と自らの実践に基づいた子育て論にはヒントが満載です。

2026年6月1日 発行/ 7 月号

特集 続けてこそ道

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