才能より情熱 川島文夫(「PEEK-A-BOO」代表)

およそ半世紀にわたり、日本の美容師界を牽引し続ける人物がいる。「PEEK-A-BOO」代表の川島文夫氏だ。氏はかつてロンドンの「ヴィダル・サスーン」において、20代で世界の美容史に残るヘアスタイル「BOX BOB」を発表。その後日本で美容室を開き、76歳になった現在もサロンに立つ。そんな衰え知らずの美容師人生を支えるものとは何か。その源泉を探る。

仕事とは終点のない旅のようなものです。50、60、70と歳を重ねるにつれ、不思議とゴールが離れていく。

難しいものを易しく、易しいものを楽しく、楽しいものをより深く。

変わり続ける景色を楽しみながら、「生涯美容師」を目指していきたいと思います

川島文夫
「PEEK-A-BOO」代表

東京に8店舗、330名のスタッフが在籍するヘアサロン「PEEK-A-BOO」の代表を務める僕は、76歳の現在も週に4日はサロンに立っています。

組織のトップになるとサロンに立たない方も多い中で、僕は「ハサミ1本で国境を越えられる」を信条に生きてきた人間です。幾つになっても現場に立ち、髪を切り続ける。サロンワークこそ自分自身の原点なのです。

いまでも1日20人ほどのお客様を担当しますが、午前中に10人担当してキレが増し、午後にさらに10人。仕事をしないとむしろ疲れる体質になりました。週の残り3日はといえば、講習会で日本全国、時に世界各地を回って技術を伝えています。休むのは寝る時くらいでしょうか。

喜寿目前のいまも、毎日のサロンワークが楽しくてたまらない。その情熱がいまも僕をここに立たせています。

美容師になって50年以上が経ち、この頃は、「いつ辞めるの?」と聞かれることも多くなりました。しかし、いまも昔も美容に対する熱量は何ら変わりません。

プロフィール

川島文夫

かわしま・ふみお――昭和23年東京都生まれ。高山美容専門学校卒業。カナダの美容室勤務を経て、46年ロンドンの「ヴィダル・サスーン」に参加。48年東洋人初となるアーティスティックディレクターに就任。美容史に残るヘアスタイル「BOX BOB」を発表。52年「PEEK-A-BOO 川島文夫美容室」を表参道に開店。現在もサロン勤務を行いつつ、日本全国・世界各地を行脚して技術指導に励む。


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