4 月号ピックアップ記事 /エッセイ
運命を開く立命の書『陰騭録』に学ぶ 山路天酬(あさか大師香林寺山主)

運命は固定したものではなく、自ら切り開いていくもの。この立命の心を説くのが中国明末の書『陰騭録(いんしつろく)』である。仏道を歩みながら運命論の研究を重ねてきた異色の僧侶・山路天酬氏に、この稀有なる書から学ぶべき運命好転の心得を繙いていただいた。

運命を変えるには先祖を敬い、善行によって陰徳を積む以外に道はありません。
そのためにも日常のありふれた心がけから実践してほしいと思います
山路天酬
あさか大師香林寺山主
人間の運命は何によってつくられていくのだろうか――。
私が若い頃から抱いてきたこの命題に、明解な指針を与えてくれたのが、中国明代の書『陰騭録』でした。
私は現在、埼玉県朝霞市のあさか大師香林寺で山主を務めています。生まれは栃木県の農村なのですが、病弱な母の健康を願い、祖母に連れられてお寺参りを重ねたところから宗教心が芽生えたようです。小学3年生の時に母を失ってからはその傾向に拍車がかかりました。
転機を迎えたのは23歳の時。真言宗の尼僧であった妻と出会い、正式に仏門に入り、寺の仕事を務めるようになりました。そして平成30年に、あさか大師香林寺を開山したのです。
私は真言宗の僧侶として教義の学習や修行に励む一方で、運命学の学校や占術の先生に学び、運命の研究を継続しました。その過程で、占術は願いごとを達成する力にはなるけれども、人生そのものを変える力、つまり運命そのものを変える力にはならないのではないかという疑問を抱きました。
そこで浮上するのが、仏教の宿業という命題です。つまり、仏教と運命学を統合することが、私の積年のテーマとなりました。そしてその格好の教材となったのが、『陰騭録』でした。
~本記事の内容~(全4ページ)
◇人間の運命を追求し続けて
◇運命を大転換させた立命の教え
◇命は我よりなし、福は己より求む
◇ささやかなる善行を積み重ねる
◇運の巡りをよくする裏技
◇運命は「確定的不確定」
プロフィール
山路天酬
やまじ・てんしゅう――昭和27年栃木県生まれ。16歳で弘法大師空海の書に触れ、真言密教の僧侶になることを決意する。三宝院流と修験恵印法流にて入壇。57年、第1回八千枚護摩を成満。以後、成満50回に及ぶ。また他の法流をも相承し、野沢諸法流総許可を受く。平成12年、伝燈大阿闍梨位。30年あさか大師香林寺を開山。初代山主となる。『九星気学立命法』(青山社)など著書多数。中医師、整体師、書家、随筆家として活躍する一方、九星気学、茶道、花押、古美術、挿花などにも精通する。
編集後記
運命は生まれつき定められているものなのでしょうか。立命の書とされる中国明末の書『陰騭録』は、日々陰徳を積み重ねてこそ、運は開かれると説きます。真言宗僧侶の山路天酬さんが長年の仏教や運命論の研究をもとに平易に繙く『陰騭録』に興味は尽きません。

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