多極化時代の生存戦略——日本は独自の核戦力の保有を急げ 矢野義昭(日本安全保障フォーラム会長)

ウクライナ戦争に加え、中東でも危機が勃発した。混迷を深める国際情勢は今後どうなっていくのか、日本はいかにこの大変革の時代を生き抜いていけばよいのか。軍事の専門家である元陸将補の矢野義昭氏に、報道ではなかなか伝わってこない戦争の実態、国際情勢の大局について紐解いていただいた。

核武装と多極外交——どちらも日本の政治リーダーたちが覚悟を持って決断・実行すれば、いますぐにでも可能なことです。

日本を護るという覚悟、それこそが我が国の明るい未来を創るのです

矢野義昭
日本安全保障フォーラム会長

いま世界は大転換期を迎えています。今後の世界秩序は欧米、特にアメリカの覇権が相対的に低下していくことによって、〝多極化時代〟を迎えることになるでしょう。アメリカ一極覇権の時代が終わり、多極化していく世界の中で日本は一極としていかにして生き残っていけばよいのか─。それを探るには、現在の世界情勢を正確に把握することが必要です。

まず一つには、ウクライナ戦争の趨勢です。戦時には、実際の戦闘以外にも自国に有利な情報を意図的に流すプロパガンダ戦が展開されるのが常ですが、ウクライナ戦争も例外ではなく、これまでロシア・ウクライナ(同国を支援する欧米諸国)双方のプロパガンダが大量に流されてきました。欧米と共にウクライナを支援する立場にある日本では、欧米側に立ったプロパガンダがそのままメディアで流されているのが現状です。

プロパガンダに惑わされず、現実を正確に把握するには、両軍の動きが分かる衛星画像、インドなど中立的な立場をとる国々の報道、現場を歩いて情報を集めているフリージャーナリスト、独自の情報源を持つ専門家の見解を広く参照していくことが求められます。

そうした情報を総合すると、……(続きは本誌をご覧ください)

プロフィール

矢野義昭

やの・よしあき――昭和25年大阪府生まれ。47年京都大学工学部機械工学科卒。同年同文学部中国哲学史科に学士入学、49年卒。久留米陸上自衛隊幹部候補生学校入校、美幌第6普通科連隊長兼美幌駐屯地司令、第一師団副師団長兼練馬駐屯地司令などを歴任。平成18年小平学校副校長をもって退官(陸将補)。元拓殖大学客員教授、日本経済大学大学院特任教授、現岐阜女子大学客員教授。令和4年日本安全保障フォーラムを設立し会長就任。5年公益財団法人アパ日本再興財団主催 「真の近現代史観」懸賞論文最優秀藤誠志賞を受賞。『核抑止の理論と歴史』(勉誠出版)など著書多数。


2023年12月1日 発行/ 1 月号

特集 人生の大事

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