6 月号ピックアップ記事 /私の座右銘
竹の如く 山中正竹(全日本野球協会会長)
各界を代表する企業、機関、団体を牽引してきたリーダーに、人生観・仕事観を形成した体験や、トップとして貫いてきた信条を披歴いただく連載「私の座右銘」。今回ご登場いただいたのは、全日本野球協会会長・山中正竹氏です。
かつて東京六大学野球リーグで、法政大学のピッチャーとして前人未踏の48もの勝ち星をあげながら、プロには進まず企業へと就職。その後球界に呼び戻され、都市対抗野球で優勝、二度の五輪で日本代表監督としてメダルを獲得したほか、2006年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で初代アジア代表技術委員も務められます。野球道一筋に生きる山中氏の信条と軌跡に迫ります。
エリート選手でもなかった私が48もの勝ち星を上げられたのは、誰よりも負けず嫌いで、誰よりも考え続け、そして誰よりも根性があったから
山中正竹
全日本野球協会会長
私がいま力を注いでいることは、長らく勝利至上主義や理不尽な指導法も散見された日本の球界に、欧米の進んだスポーツマンシップを根づかせることです。スポーツマンシップとは、グッド・ゲームを実現しようとする心構えであり、その上でスポーツを通して身につける人格的な総合力と定義しています。
その意味で先般、ワールド・ベースボール・クラシックで優勝を果たした侍ジャパンの選手たちが、単に優れたプレーだけでなく、素晴らしい人間性を発揮して活躍してくれたことは嬉しい限りです。
野球は人生を楽しく、豊かにしてくれ、生きる上で大切なことを際限なく教えてくれます。76歳になるいまでも次々と課題を与え、成長を促してくれる。野球をやっていて本当によかったと心から思います。
プロフィール
山中正竹
やまなか・まさたけ ―― 昭和22年大分県生まれ。法政大学在学中に東京六大学野球リーグで史上最多の48勝を記録。45年住友金属工業入社。同社野球団で7年連続都市対抗野球出場。現役引退後は、同野球団監督、オリンピック野球監督、法政大学監督、大学日本代表チーム監督等を務める。平成15年横浜ベイスターズ役員(~22年)。27年全日本野球協会理事。28年野球殿堂入り。30年より現職。
編集後記
2016年、野球殿堂入りを果たした山中さん。76歳になっても、大学時代に神宮球場で味わった喜びを忘れず、野球を通して人間を学ぶという姿勢を崩さないで後進育成への志を語る様に、こちらも心が奮い立ちました。日本代表がWBCで快勝したのみならず、その過程で世界基準の素晴らしいスポーツマンシップ、人間性を発揮したことに感慨を述べられたのが印象的でした。
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