幕末の志士 橋本左内『啓発録』に学ぶ 瀬戸謙介(空手道場「瀬戸塾」師範)

幕末の志士・橋本左内が14歳の決意を綴った『啓発録』。その内容は、年齢から抱くイメージとはかけ離れた教養、自律心、覚悟に溢れ、読む者を奮い立たせずにはおかない。同書を子供たちの教育に活用し、この度弊社より『14歳からの「啓発録」』を上梓した瀬戸謙介氏に、自身の活動を交えて、14歳の志士から学ぶべきものについてお話しいただいた。

左内が15歳の時、『啓発録』に綴った決意

・「去稚心」(稚心を去る。子供じみた甘ったれた依頼心を捨て去り、独立独歩の心を起こす)
・「振気」(気を振るう。何事に対してもやる気を起こし、勇気を持って事に当たる)
・「立志」(志を立てる。一所懸命勉強して天下国家に役に立つ人間になる)
・「勉学」(学に勉める。学問に励む)
・「択交友」(交友を択ぶ。友を選び、切磋琢磨し自分を磨く)

橋本左内
©国立国会図書館HP(近代日本人の肖像)

天保5(1834)年〜安政6(1859)年。幕末の志士。現在の福井県に生まれ大坂の適塾で医学を修得。後に江戸に遊学し藤田東湖、西郷隆盛らとも交友。帰国後、書院番・藩校明道館学監同様心得として藩政改革に当たる。14代将軍に一橋慶喜を擁すべく奔走したが、安政の大獄により斬首された。

瀬戸謙介
空手道場「瀬戸塾」師範

私はこの度、致知出版社より『14歳からの「啓発録」』を上梓しました。同書では、私が主宰する空手道場「瀬戸塾」で毎年行っている「立志式」のことを紹介しています。

立志式は、あと1年で義務教育を終える14歳の子供を対象に行っています。式の3か月前から毎週金曜日、空手の練習の後約20分間、これからの人生をどう生きるかを一緒に学びます。そして1週間前には靖國神社に赴き、境内にある遊就館で特攻隊の方々の遺書を読み、昇殿参拝を行います。国際社会に翻弄されながらも日本という国がいかに守られてきたかを知り、いまの日本を創り上げてくださったご先祖様への感謝の気持ちを抱くことを学びます。

立志式の当日は保護者、来賓、他の塾生たちの前で決意文を発表し、決意の言葉を書いた板を正拳突きで割ります。彼らの覚悟に満ちた晴れやかな表情を見る度に、私は深い感動を覚えます。

プロフィール

瀬戸謙介

せと・けんすけ――昭和21年旧満州生まれ。14歳で空手を始める。獨協大学卒業。54年「瀬戸塾」を立ち上げ、空手指導と武士道や『論語』の講義を通じた人間教育に尽力する。現在、社団法人日本空手協会八段、日本空手協会東京都本部会長。著書に『子供が喜ぶ論語』『子供が育つ論語』(共に致知出版社)。


編集後記

弊社より『14歳からの「啓発録」』を上梓した空手道場「瀬戸塾」師範の瀬戸謙介さんには、14歳の子供たちを対象に実施する「立志式」に寄せる思いをお話しいただきました。その根底にある「この日本を何とかしなければ」との信念は、橋本左内の志にも重なるものがあります。

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