6 月号ピックアップ記事 /エッセイ
若人よ、人生の開拓者たれ ~小原國芳が切り開いた教育の道~ 小原芳明(学校法人玉川学園理事長)
東京・多摩の緑豊かな丘に、幼稚園児から大学生まで延べ1万人の学生が集う学び舎が広がっている。〝最後の私塾創立者〟小原國芳が、教職員や生徒と雑木林を開墾して創設した玉川学園である。苦学の中で真の人間をつくる教育を求め、己の一切を注いで理想の学校を現実にしたその足跡、言葉は開拓者としての気概、夢に溢れている。
[写真提供:玉川学園]
人生の最も苦しい いやな 辛い 損な場面を真っ先きに微笑を以って担当せよ
~玉川のモットー~
小原國芳
玉川学園創設者
(明治20年~昭和52年)
彼が遺した人生の詩〈人生の最も苦しい いやな 辛い 損な場面を真っ先きに微笑を以って担当せよ〉、これは祖父が求め続けた人材像であり、終わりなき夢だと思います
小原芳明
学校法人玉川学園理事長
ここに込められた願いは、「開拓者精神を持て!」ということでしょう。
誰だって、最初に挑戦するのは嫌なものです。失敗して笑われ、後始末に苦労し、損するかもしれません。
しかしピラミッドの底に土台石が要るように、真っ先に困難に立ち向かい、担う気概ある人がいなければ何も実現しないことをこの言葉は教えてくれています。
誰より祖父自身がそうして教育を開拓してきたのでしょう。その意味でこれは、祖父の人生の〝詩(うた)〟と言えると思います。
プロフィール
小原國芳
おばら・くによし――明治20年鹿児島県に生まれる。大浜海底電信所で電信技手をした後、鹿児島師範に進学。受洗する。広島高等師範を卒業、大正2年香川師範教諭となる。7年京都帝国大学哲学科卒業。翌年、澤柳政太郎の招きで成城小学校主事。15年七年制成城高等学校主事兼教授。昭和4年玉川学園開学。52年召天。
小原芳明
おばら・よしあき――昭和21年東京都生まれ。玉川学園小学部・中学部を経て、高等部2年次渡米。マンマス大学卒業後、スタンフォード大学大学院修了。62年玉川大学文学部教授。国際教育室長、通信教育部長、副学長を歴任し、平成6年より学校法人玉川学園理事長・玉川大学学長・玉川学園学園長。令和3年より日本私立大学協会会長。
編集後記
〝最後の私塾創立者〟小原國芳の令孫・小原芳明さんに教育者としての顔だけでなく実業家的手腕、「言葉の魔術師」という側面まで、詩的な言葉を交え回顧していただきました。取材では小原翁が切り拓いた広大で緑豊かな学園の箱庭もご案内いただき、偉才の足跡を肌で感じました。
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