師と弟子の情熱がぶつかり合って技術は伝承する 松本明慶(大佛師)

躍動感のある造形力、慈愛に満ちたみほとけのお顔に溢れる表現力は見る者の心を捉えて離さない。大佛師の松本明慶氏がつくる仏像は、一つの表情で喜怒哀楽がすべて表現されていると言われる。松本氏が師のもとで学んだ期間は僅か1年半。にも拘らず、世界屈指の腕を得たのは、師の教えの一切をもらすまいと受け止めた姿勢があったからに他ならない。その師と弟子の命の呼応について伺った。

いつの時代でも生きている時間、働ける時間は決まっています。一日二十四時間は誰にも公平。若い人は特に〝命〟とは何かを考えてほしい

松本明慶
大佛師

 4歳年下の弟の無念な死を契機に17歳で仏像を彫り始め、瞬く間に60年が経とうとしています。
 一般の方々とは異なり、出発点が悲しみの底にありましたので、私の体験談は参考になるのだろうかと考えます。しかし、いつの時代でも生きている時間、働ける時間は決まっています。一日二十四時間は誰にも公平。ですから若い人は特に〝命〟とは何かを考えてほしいのです。
 父母からもらった大切な命、それを私は時間だと思っています。その大事な時間をどう過ごすかが、人生なのです。

プロフィール

松本明慶

まつもと・みょうけい――昭和20年京都府生まれ。洛東高校卒業後、39年京佛師・野崎宗慶師に弟子入り。京都佛像彫刻展で55年に市長賞を受賞以後計12回、60年に知事賞受賞以後計14回受賞。平成3年総本山より「大佛師」の号を拝命。11年世界最大級の木造仏・大弁財天像完成(鹿児島/最福寺)。現在全国各地の寺院に大仏を19体造仏。40人以上の弟子を育成中。著書に『炎の仏師』(ネスコ)『ひとふりの命』(松本明慶佛像彫刻美術館)など。


編集後記

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