7 月号ピックアップ記事 /対談
道を求める心が世の一灯となる 堀澤祖門(泰門庵住職) 滝田 栄(俳優)
十二年籠山行という難行を戦後初めて満行した泰門庵住職・堀澤祖門氏。舞台やテレビで活躍する一方、仏道修行や仏像彫刻を通して道を求め続ける俳優・滝田栄氏。様々な実践を通して社会の一隅を照らし続けてきたお二人の歩みから、志を抱いて一途に人生を生き切ることの意義を教えられる。
大切なのは精神的なものを求めてどこまでも成長していく。心を清めていく。一日たりとも無駄にしない。そのことに尽きるでしょうね
堀澤祖門
泰門庵住職
二元相対の価値観で生きている以上、どうしても争いは絶えることがありません。
そういう対立関係を超えて、本来皆一つであるという絶対(対立を超える)の世界に気づいていただける道を示すのが、私たち宗教者の役目だと思っています。
「難有り、有り難し」
これは困難に接した時、人は再起する、困難は人が立ち上がって一歩を踏み出すきっかけになるという教えなんですね
滝田 栄
俳優
僕は、長い長い迷いの世界を彷徨いながら、「こういう生き方でいいのかな」という思いが自分の中で蓄積されていって、仏教とのご縁をいただいたように思います。まさに再誕というか、本当の自分を見つける道のりでした。最近になってようやく「あっ、これがそうだったのか」と分かり始めた感覚を得ているところです。
プロフィール
堀澤祖門
ほりさわ・そもん――昭和4年新潟県生まれ。25年京都大学を中退して得度受戒。39年十二年籠山行を戦後初めて達成。平成12年叡山学院院長、14年天台座主への登竜門「戸津説法」の説法師を務める。25年三千院門跡門主。令和3年より現職。著書に『君は仏、私も仏』(恒文社)『求道遍歴』(法藏館)『枠を破る』(春秋社)など。
滝田 栄
たきた・さかえ――昭和25年千葉県生まれ。中央大学在学中に演劇と出合い、文学座演劇研究所から劇団四季を経て独立。58年のNHK大河ドラマ『徳川家康』で主演。『草燃える』『なっちゃんの写真館』などのテレビドラマでも活躍。62年に始まった舞台『レ・ミゼラブル』は初演から14年間主役を演じ続ける。料理番組『料理バンザイ!』の司会は57年から20年間務めた。40代で仏像制作を始め、仏教の研究、講演活動なども続けている。
編集後記
かつて大河ドラマやミュージカルの主演を務めた俳優・滝田栄さん。若い頃に仏教に目覚め、教えを深く学んでこられました。滝田さんの生き方に共鳴する泰門庵住職・堀澤祖門さんとの対談では、体で掴み取った仏教の知恵を披瀝いただきました。お二人の神秘的ともいえる仏との出会いなど興味は尽きません。
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