7 月号ピックアップ記事 /対談
童謡が日本の未来をひらく 大庭照子(日本国際童謡館館長) 海沼 実(日本童謡学会理事長)
かつて日本の子供たちは、よく童謡を歌っていた。学校でも童謡が歌われ、テレビやラジオからも童謡が流れていた。近年、そういう環境が廃れてきている。それが子供たちの心の成育に影響を及ぼしていることはないだろうか、生活の中にもう一度童謡を取り戻すことが、現在の日本の様々な問題を突破する契機になるのではないか――。
童謡の力を信じて、童謡の普及に尽力されている日本国際童謡館館長・大庭照子さんと日本童謡学会理事長・海沼実さんに語り合っていただいた。
童謡が光になって足下を照らしてくれた。それと同時に志というものを与えてくれました
大庭照子
日本国際童謡館館長
私が幾多の荒波を乗り越えて頑張れたのは、素晴らしい先生に出会い、童謡を通して真の教育を受けていたからだと思うんです。童謡が光になって足下を照らしてくれた。それと同時に志というものを与えてくれました。
私は神様が人間に与えてくださった最高のプレゼントは教育だと思っています。だから童謡に出合えたことに感謝しています。
私は幼い頃から童謡に触れていたことで自灯明を得られたと思うんです
海沼 実
日本童謡学会理事長
「己こそ己の寄るべ、己を置きて誰に寄るべぞ……」というお釈迦様の言葉があります。少林寺拳法でも必ず唱えますが「自分こそが自分のよりどころであり、自分以外の誰を頼れるだろう」といった意味です。禅語でいうところの「自灯明」ですね。私は幼い頃から童謡に触れていたことで自灯明を得られたと思うんです。
プロフィール
大庭照子
おおば・てるこ――昭和13年熊本県生まれ。35年フェリス女学院短期大学音楽科声楽科専攻科卒業。46年NHK「みんなのうた」で『小さな木の実』を歌い童謡の道へ進み、翌年「大庭照子のスクールコンサート」を全国で開催。3000校以上の学校を回る。50年大庭音楽事務所設立。平成6年熊本・阿蘇に日本国際童謡館を設立、館長となり、11年にNPО法人の認可を受ける。著書に『「小さな木の実」とともに』(家の光協会)がある。
海沼 実
かいぬま・みのる――昭和47年東京都生まれ。幼少期から祖父・海沼實が創設した合唱団「音羽ゆりかご会」の一員として童謡に親しんで育つ。明治大学文学部卒業。NHKラジオ「ラジオ深夜便」に出演。新聞コラムの執筆、講演の他、音楽指導者の育成にも携わる。日本歌手協会理事、日本ペンクラブ会員。平成30年より現職。著書に『海沼実の唱歌 童謡読み聞かせ1、2』(東京新聞出版局)などがある。
編集後記
かつて誰もが当たり前のように歌っていた童謡。しかし、時代の変化の中で日本人の生活から消えようとしています。童謡の普及に力を尽くしている日本国際童謡館館長の大庭照子さんと日本童謡学会理事長・海沼実さんの対談を通じて、日本人の心を耕し、日本の未来をひらく童謡の力を再認識させられます。
特集
ピックアップ記事
-
対談
道を求める心が世の一灯となる
堀澤祖門(泰門庵住職)
滝田 栄(俳優)
-
対談
日本を照らす光はあるか ——この闇を破る道筋
櫻井よしこ(国家基本問題研究所理事長)
中西輝政(京都大学名誉教授)
-
対談
童謡が日本の未来をひらく
大庭照子(日本国際童謡館館長)
海沼 実(日本童謡学会理事長)
-
インタビュー
河井寬次郎が残した言葉
鷺 珠江(河井寬次郎記念館学芸員)
-
インタビュー
一千人のSOSに向き合い続けて
藤藪庸一(白浜バプテストキリスト教会牧師)
-
インタビュー
〝一滴〞に想いを込めて 酒造りの道を歩み続ける
鈴木 整(一ノ蔵社長)
-
インタビュー
奉仕の心と知恵があれば人生はひらける
鈴木富佐江(さくら着物工房主宰)
-
インタビュー
見えたものがすべてではない。 思い込みを解放して生きる
志村祥瑚(精神科医/マジシャン)
-
対談
特殊部隊に学ぶ 危機を突破する最強組織のつくり方
荒谷 卓(熊野飛鳥むすびの里代表)
伊藤祐靖(特殊戦指導者)
好評連載
ピックアップ連載
バックナンバーについて
バックナンバーは、定期購読をご契約の方のみ
1冊からお求めいただけます
過去の「致知」の記事をお求めの方は、定期購読のお申込みをお願いいたします。1年間の定期購読をお申込みの後、バックナンバーのお申込み方法をご案内させていただきます。なおバックナンバーは在庫分のみの販売となります。
定期購読のお申込み
『致知』は書店ではお求めになれません。
電話でのお申込み
03-3796-2111 (代表)
受付時間 : 9:00~17:30(平日)
お支払い方法 : 振込用紙・クレジットカード