1 月号ピックアップ記事 /インタビュー
地域第一級の銘品づくりを日本全国へ 鎌田真悟(恵那川上屋社長)
国民生活の基盤たる一次産業の衰退は著しく、農家の減少にも歯止めがかかっていない。かつて栗菓子の里と呼ばれた岐阜・東美濃地域も例外ではなかった。そんな故郷で農商工の連携を主導、〝日本一〟の栗ブランドを育てたのが、恵那川上屋社長の鎌田真悟氏だ。現在その手法を国内外で根づかせるべく奔走する氏の、やみがたい銘品づくりへの思いに迫った。
地元の人が推してくれることが、一番のブランドなんです
鎌田真悟
恵那川上屋社長
――地元農家と協力し、日本一の栗ブランドを確立された菓子店があると知って恵那(えな)にまいりました。平日昼間とは思えないほど、お店がお客さんで溢れていますね。
〈鎌田〉
実は、うちはこの東美濃で一番後発の菓子店なんです。
隣の中津川市の老舗菓子店・川上屋で工場の番頭をしていた父の鎌田満が、暖簾分けを許されて、1964年に小さな店を持ったのが始まりです。私が入った頃は年商1億円の会社でしたけど、皆で30年頑張ってきて、おかげさまで30億円の事業になりました。
――30倍に成長させた。名物の栗きんとんやモンブランをいただきましたが、栗の味わいが実に濃厚で、人気に納得しました。
〈鎌田〉
ありがとうございます。
当社の商品の主な原料が、私共が中心となって展開してきた地域ブランド「超特選恵那栗」です。14品種が認定を受けている恵那栗のうち、厳格な栽培条件と出荷条件をすべてクリアし、選果された実が超特選に分けられます。
栗って、収穫したそばからどんどん老化していくんです。だからこうして取れた栗は、できるだけ新鮮なうちに、24時間以内に自社で加工してしまいます。
――それがおいしさの秘密ですね。
〈鎌田〉
30年前、地元の栗を使っている店はうちだけでした。でも、後発の店が老舗と同じ材料を使っていたら、同じ物しかできません。そう考えたことが、恵那栗のブランド化に着手した理由の一つです。そのように老舗とは〝逆〟の道を行く中で全国の農家と繋がり、徐々に恵那川上屋「らしさ」が確立してきたように感じます。
プロフィール
鎌田真悟
かまだ・しんご―昭和38年岐阜県生まれ。中津商業高校卒業後、和洋菓子製造の修業を経て61年ブルボン川上屋(現・恵那川上屋)入社。平成10年代表取締役。同年「超特選栗部会」を発足、16年農業生産法人恵那栗を設立するなど、特産物づくりを通じた地域振興に多方面で尽力。27年明治大学専門職大学院修了。近著に『栗が風を運んだ』(永末書店)がある。
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