6 月号ピックアップ記事 /インタビュー
「三方よし」の精神を現代に生かし、 皆が幸せになる世の中を実現する 山本昌仁(たねやグループCEO)

今年創業150年の節目を迎える老舗菓子舗、たねやグループ。「三方よし」の教えで知られる近江商人発祥の地で創業した同社は、その商いの精神を現代に生かし、時代をリードするお菓子づくりや事業を展開してきた。
2011年にたねや四代目を継承した山本昌仁社長に、仕事に懸ける思い、これからの時代に求められる経営のあり方について伺った。

教えや事業を伝承していくためには、常に広いネットワークを持ち、時代の風を読み、その時代に合わせて物事を考える。
守るべきところは守り、変えるべきところは変えていかなくてはならない。
リーダーの役割はそこに尽きる
山本昌仁
たねやグループCEO
社長になって最初に取り組んだのは、全商品の味の見直しでした。たねやの代名詞である栗饅頭、「ふくみ天平」の味も遠慮なく変えました。
主人がおいしいと思わないものは売らない、これも父から受け継いだ〝たねや精神〟です。
先ほど時代と共にお客様が求める味も変わっていくと言いましたが、例えば、私が小学生の頃は砂糖をたくさん使ったお菓子、饅頭も大きなものが喜ばれました。
ところが、いまは健康や美容への関心が高まっていることもあり、砂糖の量を半分ほどに減らし、饅頭の大きさもこんなに小さくしています。
ですから、先代たちがつくったお菓子をいかに時代に合わせて変えていくか、それが菓子屋の主人の仕事であり、本当の意味での伝統の継承なのだと思います。
教えや事業を伝承していくためには、リーダーは常に広いネットワークを持ち、時代の風を読み、その時代に合わせて物事を考える。守るべきところは守り、変えるべきところは変えていかなくてはならない。
リーダーの役割はそこに尽きるのではないでしょうか。
〈写真は年間300万人が訪れる「ラ コリーナ近江八幡」〉
プロフィール
山本昌仁
やまもと・まさひと――昭和44年滋賀県生まれ。19歳より10年間和菓子修業を重ねる。全国菓子大博覧会にて「名誉総裁工芸文化賞」を最年少受賞(24歳)。平成14年洋菓子のクラブハリエ社長。23年たねや4代目を継承。25年より現職。著書に『近江商人の哲学「たねや」に学ぶ商いの基本』(講談社現代新書)。
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