6 月号ピックアップ記事 /インタビュー
経営の要諦は創業精神の伝承にあり 加藤好文(京阪ホールディングス会長)
「近代日本経済の父」・渋沢栄一によって明治39(1906)年に創立された京阪ホールディングス。渋沢翁の創業精神を脈々と伝承する同社は、鉄道事業を中核としながらも、時代の変化に柔軟に対応し、新たな事業に果敢に挑戦することで今日の発展を築いてきた。
経営トップとして同社を牽引し、様々な改革に取り組んできた加藤好文会長に、これまでの人生の歩みと共に、リーダーの条件、企業永続の要諦をお話しいただいた。
〈写真=複合商業施設「GOOD NATURE STATION」の中庭(京都四条河原町)〉
嵐が来たり、暗闇に包まれても、我が社はこっちの方向を行くんだと方向を示す。
要は、経営トップは会社の羅針盤です
加藤好文
京阪ホールディングス会長
――渋沢翁は激動の時代を生きた人ですが、現代もまたコロナ禍など、企業にとっては非常に困難な時を迎えています。この危機にはどう向き合っておられますか。
〈加藤〉
まあ、我慢のしどころといいますか、大事なのは慌てないということです。
歴史を見ても、過去のパンデミックで収束しなかったものはないですから、元の状態に戻った時にどうするか、あるいは、元通りにならない中でいかに対応していくか、しっかり考えていくことが必要だと思います。
それに少し視点を変えれば、以前なら世の中に受け入れられなかったこと、いまだからこそできることがいろいろあるんですね。
例えば、これまでは特急電車の一両をゆったりと快適に座れる仕様とし、プレミアムカー(全席指定)として運行していたのですが、これからは通勤の感染リスクを下げたいというニーズがより高まってくるだろうと予想し、プレミアムカー車両を連結した編成を増やしています。
あとは、在宅ワークなど働き方もどんどん変わっていますから、お客さまの変化に合わせて、ラッシュ時間帯などのダイヤをご利用状況に応じたものに改正を行いました。コロナ禍でもできることはたくさんあります。
プロフィール
加藤好文
かとう・よしふみ――昭和26年京都府生まれ。50年東北大学卒業後、京阪電気鉄道(現・京阪ホールディングス)入社。流通事業本部流通開発部次長、経営政策室部長、取締役常務執行役員等を経て、平成23年社長。令和元年より現職。
編集後記
京阪ホールディングス会長・加藤好文さんには、創業者である渋沢栄一翁の魂がこもった直筆書簡を手に、自らの経営人生について熱く語っていただきました。その挑戦の軌跡から、創業精神がいまなお連綿と伝承されていることをはっきりと感じ、企業永続の要諦を教えられます。
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