世界の頂点に立つ条件 村田諒太(WBA世界ミドル級スーパー王者) 金沢景敏(AthReebo社長)

ロンドン五輪ボクシング・ミドル級で日本人初となる金メダルを獲得し、現在WBA世界ミドル級スーパー王者に君臨する村田諒太氏、35歳。プルデンシャル生命保険で前人未踏の業績を上げ、世界の生保営業パーソンの上位0.01%に到達した金沢景敏氏、42歳。二人はいかにして挫折経験を乗り越え、それぞれの分野で世界の頂点に立ったのか。その努力の歩みを振り返ると共に、自己との向き合い方、一流プロの心構え、道を切り開くために必要なこと、結果を出す人と出せない人の差に迫った。

弱さが強さであって、弱さを認めたほうが本当は強いんです

村田諒太
WBA世界ミドル級スーパー王者

金沢
 5月のタイトルマッチ延期は残念でしたね。ただ、その時にもらったメールは感動しました。

村田
 ああ、あれは金沢さんが引き合わせてくれたライフセーバーの飯沼誠司さんがおっしゃっていた話を使わせてもらったんです。引き潮の時に、波に抗って一所懸命陸に行こうとする人は溺れてしまう。引き潮の時は流れに身を任せて横によけるんだと。
 最近思うのは、人間には誰しも弱いところがあって、その弱い自分を認めるのも大事だなということです。金沢さんみたいに年間売り上げナンバーワンを何度も達成されている人とか、僕みたいに金メダルや世界チャンピオンを掴む人って、鋼のような強いメンタルを持っていて、何があっても動じないと思われているかもしれないですけど、そうじゃなくて、むしろものすごく弱い。
 弱くて踏ん張れないから流される。そこで抗って溺れてしまわず、流れに身を任せられるからこそ辿り着けるというか、流れが去るのを待って力を発揮できる。そういう感覚があります。弱さが強さであって、弱さを認めたほうが本当は強いんです。

結果って「出す」ものじゃなくて、「出る」ものだなという感覚はすごくあります

金沢景敏
AthReebo社長

村田
 保険営業の世界で結果を出し続けてきた金沢さんから見て、結果を出す人と出せない人の差はどこにあると考えていますか?

金沢
 一つは、結果に囚われていない人が結果を出すと思います。もちろん僕も結果を出したくて頑張っていましたけど、最後は結果じゃない。例えば、きょう一日をやり切ろう、目の前の人に精いっぱい尽くそう、そういう思いでやっていると結果が出るんです。
 もう一つは、「あともうひと頑張り」っていうのもすごく大事だと思います。コツコツ努力する人を神様はちゃんと見ている。
 おそらく結果を出している営業マンって皆経験していると思うんですけど、きょうはこの辺でアポ取りをやめようと思った時、あともう一件取ろうと切り替えてやると、そこから何かが起きるんです。ドタキャンで時間が空いた。そこで適当に時間を潰すのではなく、誰かに連絡しようって電話したところから、何かが動き出すんです。
 そうやってもうひと頑張りを積み重ねてきた分だけ、奇跡的なことが起きる。結果って「出す」ものじゃなくて、「出る」ものだなという感覚はすごくあります。

プロフィール

金沢景敏

かなざわ・あきとし――1979年大阪府生まれ。2005年京都大学工学部卒業後、TBS入社。2012年プルデンシャル生命保険に転職。1年目にして同社の国内営業社員約3200人中1位(個人保険部門)に輝く。3年目には、卓越した生命保険・金融プロフェッショナル組織として知られるMDRT(Million Dollar Round Table)の6倍の基準であるTOT(Top of the Table)に到達。最終的にはTOT基準の4倍の成績を上げ、個人の営業マンとして伝説的な数字をつくった。2020年10月同社を退職すると、人生トータルでアスリートの生涯価値を最大化し、新たな価値と収益を創出するAthReeboを起業、代表取締役に就任。著書に『超★営業思考』(ダイヤモンド社)。

村田諒太

むらた・りょうた――1986年奈良県生まれ。中学1年でボクシングを始め、南京都高校(現・京都廣学館高校)時代に高校5冠を達成。2004年東洋大学に進学し、1年次に全日本選手権優勝。しかし北京五輪出場を逃し、現役引退。2008年より5年間、東洋大学の職員兼ボクシング部コーチとして勤務。2009年現役復帰し、全日本選手権3連覇を果たす。2012年ロンドン五輪ボクシング・ミドル級で日本人初の金メダルを獲得。同年、紫綬褒章受章。2013年プロに転向。2017年WBA世界ミドル級タイトルマッチに勝利し、世界王者に。翌年1度防衛した後、王座陥落するも、2019年王座奪還。プロ戦績は16勝2敗。著書に『101%のプライド』(幻冬舎)。


編集後記

本号の表紙を飾っていただいた村田諒太さんは、ボクシングの現役世界チャンピオンにして無類の読書家としても知られています。
気さくでユーモラスなお人柄と飾り気のない語り口、そして含蓄に富むお話に、どんどん惹き込まれていきました。
「『致知』の読者に村田君の考え方をぜひ知ってほしい」と語り、ご縁を繋いでくださったのが、対談相手の金沢景敏さん。
プルデンシャル生命保険で伝説の営業マンと呼ばれ、昨年アスリート支援の会社を新たに立ち上げた起業家です。
保険営業とボクシング――。一見かけ離れた世界のように思えますが、
お二人のこれまでの歩みや体験を通して掴んだ成功哲学には通底するものが数多く、
世界の頂点に立つためには何が大切か、努力の本質とは何かを気づかせてくれるでしょう。

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