シェイクスピアと共に歩み来て 松岡和子(翻訳家)

松岡和子さんは、28年の歳月をかけてシェイクスピアの戯曲37作品を訳し、今年5月『シェイクスピア全集』33巻を完結させた。若い頃、シェイクスピアの大きさに圧倒され遠ざかっていた松岡さんが、翻訳に取り掛かったのは54歳の時。訳を続ける中で味わった苦労やシェイクスピアの魅力についてお話しいただいた。

「劇を見てカタルシスを味わう」とよく言いますけど、シェイクスピアの劇を観ることで自分の中の嫉妬心、復讐心のようなものが登場人物の姿を通して浄化されていく。愚かさは愚かさなりにいいではないかと思える。そのスカッとした感覚を味わえるのも、シェイクスピアの魅力の一つだと思います

松岡和子
翻訳家

私は翻訳を終え、後で読み返す中で「ああ、そうだったのか」と気づかされることが多々あるんです。「分かったつもりでいたらとんでもなかった」と。それで本の増刷の時に訳を変えたこともありました。「一回読んだからこれでいい」ということには決してならない。私にとってのシェイクスピアは〝分かったつもり破壊者〟でもあるんです(笑)。

プロフィール

松岡和子

まつおか・かずこ――昭和17年旧満州生まれ。東京女子大学英文科卒業。東京大学大学院修士課程修了。東京医科歯科大学教養学部で英語を講じる傍ら翻訳、演劇評論を続ける。現在同大学名誉教授。今年5月『シェイクスピア全集』全33巻(ちくま文庫)を完結。この他に『繪本シェイクスピア劇場』(講談社)『「もの」で読む入門シェイクスピア』(ちくま文庫)『深読みシェイクスピア』(新潮文庫)など著書多数。


編集後記

翻訳家の松岡和子さんがシェイクスピアの言葉の力を強く感じたのは、ご主人ががんを宣告された時でした。「覚悟がすべてだ(The readiness is all.)」。『ハムレット』に出てくるこの言葉を、呪文のように心の中で唱えていたそうです。28年という歳月をかけて『シェイクスピア全集』33巻(37作品)を訳された松岡さんに、これまでの出来事を交えながらシェイクスピアに対する思いをお話しいただきました。

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