8 月号ピックアップ記事 /対談
修養の道、限りなし 窪田慈雲(代々木上原禅堂師家) 阿 純章(天台宗圓融寺住職)
坐禅修行の一道を歩み続け、89歳になるいまなお、東京の代々木上原禅堂を拠点に後進の育成に情熱を傾けている窪田慈雲師。1,200年の歴史を有する天台宗の名刹・圓融寺の住職として、人々に仏教の神髄を分かりやすく紐解いている阿 純章師。お釈迦様の目指したものを目指して、限りなき修養を積み重ねてきたお二人に、私たち一人ひとりが心の安寧を得、幸せに生きていくための要諦を語り合っていただいた。
覚悟を持って真剣に坐禅を続ければ誰もが悟りを得ることができる。お釈迦様はその見本を示すために人間界に現れたのだと思います
窪田慈雲
代々木上原禅堂師家
お釈迦様の本質は何かと考えると、結局それはあらゆる観念から「ほど(仏)けた人」だと思うんです。自分は偉い、自分はすごいんだという「私」を中心とした観念からほどけた人。修行を積み重ねて、そうした観念からほどけさえすれば、誰もが苦しみから離れて自由になれますよとお釈迦様は教えているんです。
これからもお釈迦様の目指したものを目指して、怠ることなくなお一層の修養を積み重ねていきたいですし、お釈迦様の教えを一人でも多くの人に伝えていくことで、よりよい世の中の実現に貢献していきたいですね。
何事にも『よし来た!』という姿勢で向き合っていけば人生は全然変わってくると思うんです
阿 純章
天台宗圓融寺住職
仏教の教えは哲学的で難しいものだと思われがちですが、そうした表面的な難しさを全部取り除いてみれば、「日々をニコニコ微笑んで生きましょう」、これに尽きるのではないかなと。
仏道修行でも、私は仏様を目指す道があるのではなくて、仏様という道があるのだと考えているんです。いま歩いている道は仏様に向かう手段ではなく、道そのものが仏様である。そう捉えれば、いつもお釈迦様が一緒に歩んでくださっているのだから、いろんな道があったとしても、微笑みながら安心して歩んでいけばいいんだという気持ちになれるんですね。
プロフィール
窪田慈雲
くぼた・じうん――昭和7年東京生まれ。17歳の時に安谷白雲老師と初相見し、44年受戒。47年に大事了畢の証明、慈雲軒の軒号を授かる。白雲老師遷化後は山田耕雲老師に師事し、嗣法を経て平成元年に三宝教団第三世管長就任。16年退任後は、代々木上原禅道場や経営者向けの坐禅会で指導。著書に『道元禅師の心』『心に甦る「趙州録」』(共に春秋社)などがある。
阿 純章
おか・じゅんしょう――昭和44年東京都生まれ。平成4年早稲田大学卒業。15年同大学大学院文学研究科東洋哲学専攻博士課程退学。大学院在学中、北京大学に中国政府奨学金留学生として留学。帰国後、早稲田大学、専修大学等で非常勤講師を務める。現在は天台宗圓融寺住職、円融寺幼稚園園長。著書に『「迷子」のすすめ』(春秋社)『生きる力になる禅語』(横田南嶺氏との共著、致知出版社)などがある。
編集後記
お釈迦様の求めたるものを求め、弛まぬ精進を積み重ねてきた代々木上原禅堂師家の窪田慈雲さんと、天台宗圓融寺住職の阿純章さん。お二人のお話からは、仏教の神髄を求めてやまない強烈な求道心が伝わってきます。同時に、どのような状況にあっても日々を精いっぱい生きることの大切さを教えられます。
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