97年間、一日一日を大切に歩み続けて 比留間榮子(ヒルマ薬局薬剤師)

「何気ない日常が本当の幸せ」「大事なのは何事も積み重ねること」。そう語るのは、現役薬剤師として薬局に立ち続ける比留間榮子さん、97歳。ヒルマ薬局の二代目として、戦争や家族の病、死を乗り越えてきた日々を伺った。そこには、この混迷の時代を生き抜くヒントが詰まっている。[写真:孫の康二郎さんと共に]

朝起きて、その日一日があるだけで、奇跡のようなこと。そんな一日一日を私たちは生きています

比留間榮子
ヒルマ薬局薬剤師

――比留間さんは97歳のいまなお、現役薬剤師として薬局で働き続けていらっしゃるそうですね。

比留間
 毎日毎日、私にとっては当たり前の日々を積み重ねてきただけなんです。改めて皆さんの役に立つお話ができるかどうか……。
 だけどね、こうやって振り返ってみると、もう97年も生きたのかと自分でも信じられません。私たちの年代は、戦中・戦後と本当に大変な苦労を味わってきました。お金があっても食べるものに困ったし、焼夷弾が雨あられと降ってきた。いまそういうお話をしても、嘘のように聞こえてしまうかもしれませんが、本当の話なのよね。現実にこの目で見てきたんですもの。

――当時を克明に知る人も少なくなってきています。

比留間
 長野県の奥地に疎開していた頃なんか、お米を一斗(十升、約15キログラム)背負って、普通にひと山越えて運んでいましたよ。よくやったなと思います。若いから何でもできたのかもしれませんけど、いろいろな経験の中で勉強させてもらってきました。

――2018年には「最高齢の現役薬剤師」として、ギネス世界記録にも認定されましたね。

比留間
 孫の康二郎がいろいろ調べて、申請などすべてをやってくれました。私は何か大きな功績を残したわけではなく、ただひたすら、目の前の患者さんに向き合ってきただけなので、こんな賞をもらってもいいものかと思いました。
 ですが、このギネス記録を通して、一人でも多くの方に日々継続することの大切さをお伝えし、生きる希望や勇気を与えることに繋がるのなら、嬉しい限りです。

2店目の小豆沢店には
比留間さんを訪ねて大勢の患者さんが訪れる

プロフィール

比留間榮子

ひるま・えいこ――大正12年東京生まれ。昭和19年東京女子薬学専門学校(現・明治薬科大学)卒業。薬剤師である父の姿を見て自身も薬剤師を志し、父が創業したヒルマ薬局の2代目として働き始める。平成30年95歳の時にギネス記録「最高齢の現役薬剤師」に認定。現在も調剤業務を行いながら服薬指導や健康の相談に乗っている。著書に『時間はくすり』(サンマーク出版)がある。


編集後記

97歳の現在も薬剤師として働く比留間榮子さんの、苦楽と共に一歩一歩積み重ねてきたという日々に心を鼓舞されます。

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