頂点の先に見えたもの 伊調 馨(ALSOK所属 レスリング選手) 小平奈緒(相澤病院所属 スピードスケート選手)

女子個人として前人未到のオリンピック4連覇を成し遂げたレスリング選手の伊調 馨さん。2018年の平昌オリンピック・スピードスケート女子500メートルで、日本女子スケート選手として初の金メダルに輝いた小平奈緒さん。共に世界の頂点に立ったお2人に、人生の歩みを交え、いつまでも変化・成長し続ける要諦、終わりなき道を極めていくことの楽しさを語り合っていただいた。

毎日毎日、工夫を続けていると
神様がヒントをくれます

伊調 馨
ALSOK所属 レスリング選手

 後進を見ていても、伸びてくる選手は何事にも本当に一所懸命な子ですね。自ら学ぼうとしているかしていないか、自分のいまの立ち位置やレベル、目指す目標をきちんと考えた上で一所懸命に練習なり、トレーニングができているかどうか、もうそこに尽きます。そうすれば周りの人たちも指導者も、自然と手を差し伸べてあげたい、応援してあげたいというふうになるんです。
 道を究めていこうと思えば勝ち負けがどうでもよくなる時ってありますよね。また、周りから見れば苦しい練習も苦しいとは思わなくなる。楽しいこと、当たり前のことに思えてくる。その中で神様からヒントが降りてくるようになると、もうレスリングがやめられなくなってしまう(笑)。

自分の中の時間軸、評価軸を
しっかり持つことが大事です

小平奈緒
相澤病院所属 スピードスケート選手

 私も一所懸命さ、真剣さを持っている選手は伸びているなと思います。そして、指導者や環境に頼りきりになってしまうのではなく、いまの環境で自分はどうしたらいいのかを考える、いまの環境は当たり前じゃないってことを自覚し努力する子は強くなっていきますね。
 誰かに強くしてもらうとかいうことではなく、自分自身の中にある「こうしたい」「この競技を心から楽しみたい」という思いを大事にすることが自らの足下、人生を豊かにしていくのかなって感じます。

プロフィール

伊調 馨

いちょう・かおり――昭和59年青森県生まれ。兄と姉の影響で幼少期よりレスリングを始める。愛知県の中京女子大学附属高校(現・至学館高等学校)、中京女子大学(現・至学館大学)を経て、ALSOKに所属。世界選手権10度優勝。平成16年アテネ、20年北京、24年ロンドン、28年リオデジャネイロオリンピックで女子個人としては前人未到の4大会連続金メダルを獲得。同年国民栄誉賞受賞。

小平奈緒

こだいら・なお――昭和61年長野県生まれ。幼少期よりスケートを始める。中学2年で500メートル中学記録を更新、高校時代のインターハイでは500メートル、1000メートルの2冠達成。平成17年信州大学教育学部に進学。卒業後の21年相澤病院(長野県松本市)に就職。22年バンクーバーオリンピックでは団体パシュートで銀メダル、30年平昌オリンピックでは1000メートルで銀メダル、500メートルで金メダルを獲得。


編集後記

表紙を飾る対談には、前人未到のオリンピック4連覇を成し遂げたレスリング選手の伊調馨さんと、平昌オリンピックで金メダルを獲得したスピードスケート選手の小平奈緒さんにご登場いただきました。お2人が語る人生の歩み、道を楽しむ境地から、勝利する者の条件、長く結果を出し続けるヒントを教えられます。

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