5 月号ピックアップ記事 /インタビュー
教え子みな吾が師なり ——徳永康起 その魂の教育に学ぶ 神渡良平(作家)
様々な家庭環境に翻弄される教え子たちに温かい眼差しを向け、人生の伴走者として魂の交流を重ね続けた徳永康起先生。この度、その貴重な評伝『人を育てる道』を致知出版社より上梓した作家の神渡良平氏に、子供たちの命を精いっぱい輝かせた教師から学ぶものを伺った。
徳永先生の非凡なところは、自ら降格を願い出て一教員に戻ったことです。校長になって学校経営に力を割かれてしまうより、学級担任となり、子供たちとの直接的な交わりを通じて、その魂の成長に深く関わりたいと考えたのです
神渡良平
作家
「子供たちの家庭は様々です。まだ自立できない子供たちが必死に耐えて生きています。誰かがそういう子供たちの支えにならなきゃいけない現実があるんです。教師は黒板に白墨で何かを書いて教えているだけですまないのです。
私は問題を抱えた子を一人ぼっちにしてはおけない。彼らの相談相手になり、つっかえ棒の役割を果たしたい。そう思って日々子どもたちと交わっています」
徳永先生は黒板の前だけの教師ではなく、教え子たちの人生の伴走者でした。
プロフィール
徳永康起
とくなが・やすき――明治45年熊本県生まれ。昭和7年熊本師範学校卒業。8年岡原小学校下槻木分校に勤務。22年井牟田小学校校長を拝命。27年八代市太田郷小学校に平教員として勤務。46年退職。54年67歳で逝去。編著書に『教え子みな吾が師なり』(浪速社)がある。
神渡良平
かみわたり・りょうへい――昭和23年鹿児島県生まれ。九州大学医学部中退後、新聞記者や雑誌記者を経て独立。38歳の時脳梗塞で倒れリハビリで再起。闘病中に書いた『安岡正篤の世界』(同文舘出版)がベストセラーに。現在では執筆の他、全国で講演活動を展開。著書に『安岡正篤 立命への道』『下坐に生きる』『人を育てる道 伝説の教師 徳永康起の生き方』(いずれも致知出版社)など。
編集後記
いまのコロナ禍は、教育のあり方を再考する機会にもなっています。作家の神渡良平さんにご紹介いただいた伝説の教師・徳永康起先生と教え子たちの感動の逸話には、教育の本来のあり方を考えさせられます。
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